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全身性エリテマトーデス(SLE) ![]()
1. 診断は米国リウマチ協会1982年診断基準に基づいて行なう。
診断がついた時点で罹患臓器とそれぞれの疾患活動度を評価する。2. 一般的なSLE症例の治療
疾患活動度を軽症、中等症、重症と分けて治療に当たる。
特別な症状については次項で紹介する。1) 軽症SLE
WHOの2型以上のループス腎炎などの内臓病変がなく、発熱、関節痛、紅斑、脱毛、リンパ節腫脹などの炎症症状のみを呈し、血清補体価が軽度低下か正常で、抗DNA抗体価が陽性だが低値のもの。このような症例では、プレドニゾロン20〜30mg/日の投与で諸症状が消失する。
2) 中等症SLE
蛋白尿、血尿、円柱尿など腎症を有し、WHO分類2型、3型のループス腎炎。少量の胸水など漿膜炎、軽症ループス肺臓炎、肺梗塞。このような症例ではプレドニゾロン40 mg(1 mg/kg)と罹患臓器に対する治療を併用。
3) 重症SLE
WHO分類4型のループス腎炎、中枢神経系症状(痙攣、精神症状、髄膜炎、横断性脊椎炎など)、高度血球減少症(出血やDICなどを除く)、心タンポナーデを合併したもの。パルス療法(メチルプレドニソロン 0.5 g を維持輸液 500 mlに溶かして2時間かけて行なう点滴を連続3日間)を行い、プレドニゾロン60 mg(1.2mg/kg)を投与。シクロフォスファミド(50〜100 mg/日)を併用することが多い。患者の状態により、血漿交換療法、免疫吸着療法、除水療法、透析、および罹患臓器に対する治療も併用。抗リン脂質抗体が陽性の症例では予防的に抗凝固療法も併用する。3. 特別な配慮の必要なSLE
CNSループス、横断性脊髄症
1) 基本的治療
プレドニゾロン60mg/日より投与開始。経口摂取不能なら点滴静注。効果判定は、症状改善、脳波所見・髄液所見(CSF Ig index※・CSF IL-6活性)の改善をみて行なう。ただし、一過性脳虚血発作(TIA)に対するステロイドの効果は明確でない。効果が不十分なら、ステロイドの増量・ステロイドパルス療法(1g/回を3回)・免疫抑制薬の追加投与(シクロフォスファミド50〜100mg/日)を行なう。
※髄液IgG x 血清albumin / 血清IgG x 髄液albumin (正常は0.76以下)
2) 向精神薬、抗けいれん薬
対症療法として用いる。ステロイド誘発性精神病との鑑別に難渋することもある。病棟管理上必要なら、精神科医とも相談して精神科病棟に転科させる。多量の向精神薬を用いると病状がわかりにくくなることがあり注意を要する。
3) シクロフォスファミド・パルス療法
難治性のCNSループスに500〜700mgを点滴し1ヶ月間休薬するシクロフォスファミド・パルス療法を試みることがある。
抗リン脂質抗体症候群を有するSLE
1) 血栓症、血小板減少症とループス・アンチコアグラント(LA)・抗β2-グリコプロテイン1・カルジオリピン複合体に対する抗体を有する患者には、少量aspirin療法(小児バファリン100 mg/日)、ないしwarfarin療法を行なう。ヘパリン(10000 単位/日)を使用することもある。
2) 血栓性血小板減少性紫斑病に似た臓器病変を起こす劇症型抗リン脂質抗体症候群の合併例に対しては、血漿交換、ステロイド・パルス療法、免疫抑制剤にて積極的に治療する。
腎機能が緩徐に悪化するループス腎炎
まず、腎生検を行う。その結果が、ループス腎炎4型であれば、上記の治療を行う。逆に、糸球体の硬化・間質の繊維化などループス腎炎の慢性病変が主である場合は、ステロイドの効果は期待できないので、20 mg/日のプレドニゾロン投与とする。
SLEの緊急症
重症型のSLEで、特に急激に生命を脅かす病状。CNSループス、DIC、劇症型抗リン脂質抗体症候群、心タンポナーデ、重症ループス肺臓炎、重症溶血性貧血、重症血小板減少症など。それぞれの症状に対する対症療法のほかに、状況の許す限り速やかに、血漿交換、免疫吸着療法とステロイド・パルス療法を行う。時にシクロフォスファミド・パルス療法も試みる。血小板減少症に対し、大量ガンマグロブリン療法も試みることがある。4. ステロイドの減量
約4〜6週間ステロイドを維持し、症状のみならず、血液検査(血清補体価、抗DNA抗体価など)も落ち着けば、2週間で10 % ずつ減量する。効果が十分でない場合は、免疫抑制剤を併用して、ステロイドの減量を図る。多くの患者での維持量は、5〜10 mg/日のプレドニゾロンが必要である。免疫抑制剤は病状が落ち着いたら、漸減し中止する。
5. 生活指導、食事療法
紫外線により日光過敏症のでる場合は、帽子、長袖のシャツ、日傘、日焼け止め化粧品(数時間で効果がなくなるものもあるので注意)。ストレス(外傷、手術など)も免疫系が刺激されるので注意。食事制限のない場合にも、成人病(肥満、高血圧、高脂血症、動脈硬化)にならないように、カロリー、塩分、脂肪などを指導する。
(根来 伸夫 大阪市立大学医学部内科学第一教室)