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重症筋無力症(MG) ![]()
1.診断がつき次第、胸部CTなどで胸腺腫や胸腺過形成合併の有無を検索する。
2.眼筋型
眼筋障害の症状のみを呈する眼筋型で、胸腺腫や胸腺過形成の合併が疑われる場合には、全身型に準じてステロイド治療と拡大胸腺摘出術を施行するが、合併がない場合には抗コリンエステラーゼ薬の経口投与で経過を観察する場合も少なくない。通常は臭化ピリドスチグミン60〜180mg/日(最大360mg/日)を症状にあわせて投与するが、不十分ならやや効力が強く作用時間の長い塩化アンベノニウム10〜30mg/日を用いる。しかし眼筋型の中には将来全身型に移行するものもあり、注意深いフォローアップが必要である。
3. 全身型
胸腺腫や胸腺過形成合併の有無にかかわらずステロイド治療と拡大胸腺摘出術を施行する。これはMGでは、胸腺自体に自己免疫の主座があると考えられているためである。
われわれは術中術後の管理をよりよくするために、術前に、必ずステロイド治療を導入している。方法はまず、プレドニゾロンを10mg/日より連日投与し、1週間に10mgずつアップして30mgになった時点で臨床症状と誘発筋電図でwaningの改善を評価する。この間に症状が改善すれば、併用していた抗コリンエステラーゼ薬は漸減する。この時点で十分臨床症状が改善していると判断されれば拡大胸腺摘出術を施行するが、不十分であればさらにプレドニゾロンを60mg/日まで漸増して症状の改善を待ち、拡大胸腺摘出術を施行する。
このプロトコルで注意しなければならないのは、プレドニゾロン開始早期に、ときに初期増悪をみることである。しかし通常はプレドニゾロン増量とともに臨床症状は改善し、安全に拡大胸腺摘出術を施行できることがほとんどである。これでも改善が十分でない場合には、術前に血液浄化療法の追加を考慮する。
拡大胸腺摘出術後には使用しているプレドニゾロンの漸減を行うが、この際には導入時と異なり、臨床症状、誘発筋電図の結果、アセチルコリンレセプタ−抗体の抗体価をみながらゆっくりと時間をかけて漸減するようにする。もしも摘出胸腺組織が浸潤性胸腺腫であれば、放射線治療の追加を行う。一般的には、拡大胸腺摘出術後にはプレドニゾロンは2.5〜5mg/隔日投与程度まで減量できる場合が多い(全く中止できる症例もみられる)が、プレドニゾロンの減量が十分できない症例については、他の免疫抑制薬であるアザチオプリン(0.5〜2mg/kg/日)の併用を考慮する。
4. クリーゼ
クリーゼといわれる症状の急性増悪には、筋無力症クリーゼとコリン作動性クリーゼがあり、エドロフォニウム試験で鑑別を行う。いずれにせよ、呼吸管理が最大の問題であり、必要に応じて適切な気道確保と人工呼吸器管理、さらに感染対策を行う。コリン作動性クリーゼでは抗コリンエステラーゼ薬を中止するが、筋無力症クリーゼではステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日、静注3日間)や血液浄化療法を行う。重症筋無力症の血液浄化療法としては通常、二重濾過膜法を用いた血漿交換療法か、吸着カラムを用いた免疫吸着療法が行われ、急性増悪期を克服するのに有効である。
(吉澤利弘 筑波大学臨床医学系神経内科:Therapeutic Notes : 17,1997)