後縦靭帯骨化症(OPLL) 

ホームへ   項目一覧へ   次の項目へ 


 後縦靭帯骨化症(OPLL) 


 OPLLの発育につれて、圧迫による循環障害のための神経細胞の脱落、脊髄症の進行が不可避、不可逆であること、また高度な圧迫例では手術のリスクも高くなることから、十分なインフォ−ムド・コンセントが得られたならば、早期に手術を行う方針が広まりつつある。経験の蓄積、画像によるフィ−ドバック、手術材料の進歩により、脊椎マイクロサージェリ−の有効性と安全性はとみに高まっている。

 手術の目的は、神経構造に対する圧迫の除去と、脊椎安定性の確保、再建である。脊椎病変の同定と除去のみでなく、脊椎配列、可動性、安定性を評価し、手術の影響を予見して、治療を計画する。たとえば、後方手術が有効であるためには、前弯が保たれていて、減圧後に脊髄が後方へ移動することが前提である。また、前方手術で多椎間が固定される場合には、隣接椎間の変形が、長期的に起きる大きい問題である。しかし、術前から既に可動性が失われている場合には、固定しても損はないといえるであろう。要するにバイオメカニカルな考察が重要で、病変と状態にあわせて手術を「仕立てる」ように計画すべきである。1つの術式をすべての患者に強行するようでは、短期的にある程度の効果をあげても、長期的には問題を避けられない。

 術式としては、後方は椎弓拡大形成、前方は椎体切除と固定(必要ならばインストラメンテ−ションを併用)が標準的なものであるが、その他にも固定を行わない椎体切除のやり方もある。ちなみに筆者の実験例95例では、前方と後方それぞれ約半数である。前方vs後方手術の選択は、以下の条件を考慮して行っている。


 前方手術を考慮する状況、要件

・圧迫の主体が、前方からのものであること

・手術によって、完全に切除することができること

・病変の上下の広がりが、あまり大きくないこと

・2椎間3椎体、最大でも3椎間4椎体程度

・前弯(lordosis)が失われているとき

・病変部の分節間の可動性が失われていること

・不安定性があること

 後方手術を考慮する状況、要件

・多椎体、多椎間に及ぶ病変

・ 病変が第2頚椎まで及ぶとき

・発育性脊柱管狭窄症(developmental canal stenosis)の合併

・前弯(lordosis)が保たれていること

・分節の可動性が保たれていること

(金 彪 獨協医科大学脳神経外科:Therapeutic Notes : 40-41, 1997)


ホームへ   項目一覧へ   次の項目へ