意欲低下のある患者へのリハビリ支援 ![]()
1. 意欲低下のある患者のリハビリテーション援助について考える場合、
その要因を明確にすることが重要となる。意欲に影響する要因として、
(1)患者側の要因、(2)サポート側の要因、(3)治療そのものによる要因
などに大別される。
(1) 患者側の要因
患者側の要因としては、疾患や治療内容、障害の程度、今後の見通し、既往歴、基礎体力などの身体的要因について把握する。
次に、患者の病識や自立への意欲にかかわる要因として、患者がどのように現在の状態を認識しているか、またどこまで回復することを望んでいるか、家庭や社会における役割の変化や喪失の有無などを確認する。
また、リハビリに伴う身体的苦痛、不安の有無や依存性、抑うつ状態の有無など患者の感情にかかわる要因についてアセスメントする。さらに、障害をもった患者の受容がどの時期(1.ショック期 2.否認期 3.混乱期 4.解決への努力期 5.受容期)にあり、今後どうなっていくか予測することが必要となる。
(2) 家族などのサポート側の要因
家族が患者の疾病や障害に対してどのように認識しているか、また患者の回復をどの程度期待しているか、リハビリテーションの必要性についてどのように考えているかなど家族の認識にかかわる要因について把握する。また、患者と家族の人間関係や家族の協力の程度などを情報収集する。患者と同様に家族も戸惑っている場合があるので、家族サポートについてアセスメントすることは重要である。
(3)治療そのものによる要因
難病に対する治療は対症療法が多いが、そのなかで患者や家族が治療に対してどのように受けとめているかなどを把握する。また、患者・家族・医療者間のリハビリテーション目標にずれがないかなどアセスメントする。
2. 援助事例 : 患者の希望がリハビリ意欲を生む
■60歳の男性, 疾患名:パーキンソン病, stage3■
5年前から歩行障害が現れ、薬物療法を開始している。表情は乏しく、構音障害がみられ、前屈姿勢で軽度の振戦と筋固縮がある。リハビリ導入時は消極的であったが、本人が「前のように盆栽の手入れがしたい。」という情報をもとに目標を決め、1日の生活パターンにリハビリを計画的に取り入れた。その結果、困難だった前後,左右の重心移動ができるようになった。
【ポイント】リハビリに消極的な患者に対しては、生活のなかでこれだけはしたいという希望を聴き、それを目標にしてリハビリ意欲を引き出した。
3. リハビリテーションを阻害する因子
(1) 患者側の要因
身体的要因
・合併疾患
運動機能訓練によって疾患の悪化が予想される場合
・活動耐性の低下
運動機能訓練に耐えられない場合
・運動機能の低下が著しい場合
関節拘縮、筋力低下、不動による廃用性症候群
患者の認識や自立への意欲にかかわる要因
・疾患に関する認識不足
過剰期待や無力感など
・リハビリテーションの必要性の理解不足
・社会・家庭での役割の変化や喪失
患者の感情にかかわる要因
・障害受容過程における否認
・抑うつ状態
・予後への不安
・依存心や甘え
(2) サポート側の要因
・家族の疾患や障害に対する認識不足
・家族内での役割や地位の変化や喪失
・家族の支援体制が得られない
(3) 治療そのものによる要因
・疾患やリハビリからおこる苦痛や疼痛
・患者、家族、医療者間でのリハビリテーション目標のずれがある
(4) その他
・脳の器質的障害
意識障害、痴呆、前頭葉症状など
・薬物投与による二次的抑うつ状態
・全身疾患に伴う精神障害
・精神疾患
うつ病、分裂病