motor fluctuationを有するパーキンソン病患者におけるHelicobacter pylori除菌とL-ドーパ吸収
Helicobacter pylori eradication and L-dopa absorption in patients with PD and motor fluctuations
M. Pierantozzi, PhD, A. Pietroiusti, MD, L. Brusa, MD, S. Galati, MD, A. Stefani, MD, G. Lunardi, PhD, E. Fedele, PhD, G. Sancesario, MD, G. Bernardi, MD, A. Bergamaschi, MD, A. Magrini, MD, P. Stanzione, MD, and A. Galante, MD
IRCCS Santa Lucia Foundation and Departments of Neuroscience, "Tor Vergata" University, Rome, Italy.
Neurology 2006 Jun;66:1824-9
目的
Helicobacter pylori(HP)の除菌が、motor fluctuationを呈するパーキンソン病(PD)患者のL-ドーパの薬物動態および臨床応答において、効果的かつ持続的改善をもたらすか否かを検討した。
方法
HPに感染したmotor fluctuationを呈するPD患者34例を、HP除菌群(n=17)とジェネリック抗酸化剤治療群(n=17)に割り付け、二重盲検下でHP除菌の短期(1週間)および長期(3カ月)の効果を、薬物動態、臨床的状態、および消化管作用を評価することで比較検討した。結果についてはプラセボ治療との比較を行った。
結果
抗酸化剤治療群と比較して、HP除菌群の患者ではL-ドーパ吸収の有意な増加がみられ、臨床的能力障害の改善と“on-time”期間の延長を伴っていたが、良好なL-ドーパの薬物動態と一致して胃炎/十二指腸炎スコアは有意に減少した。
結論
これらのデータは、HPの誘発によるL-ドーパ臨床効果の可逆的な障害が、活動性の胃十二指腸炎に起因すると考えられる薬物吸収の障害に関連していることを示している。したがって著者らは、HP除菌はL-ドーパの薬物動態を修飾することにより、motor fluctuationを呈するHP陽性のパーキンソン病患者の臨床状態を改善するとの考え方を提示している。
コメント
PDにおける長期L-ドーパ療法の問題点の一つにmotor fluctuationがあり、その末梢性機序の一因としてL-ドーパの吸収障害が言われてきた。本論文はL-ドーパの吸収障害とHP感染との関連を検討し、HP除菌の有効性を指摘したものである。機序に関しては今後の検討を要すると考えられるが、日常臨床上PD患者のHP感染の検討、陽性者に対する除菌は施行してみる価値はありそうだ。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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