農薬曝露とパーキンソン病の発症リスク
Pesticide exposure and risk for Parkinson's disease
Schwarzschild, and M. J. Thun
Department of Nutrition, Harvard School of Public Health, Boston, MA, USA
Annals of neurology 2006 Aug; 60(2):197-203
目的
長期にわたる低用量の農薬曝露によるパーキンソン病(PD)の発症リスクの増大が疑われているが、決定的なデータはまだない。
方法
農薬に曝露された個体は、曝露されていない個体よりもPDの発症リスクが高いか否かを前向き研究で調査した。1992年に米国癌協会(American Cancer Society)が開始した米国の男女での縦断的研究である癌予防研究II食物コホート(Cancer Prevention Study II Nutrition Cohort)への参加者により本研究群は構成された。追跡調査は1997、1999および2001年に行われた。2001年の追跡調査に再び参加し、ベースライン時(1992年)にPDの診断または症状のなかった143,325例が本解析に含まれた。
結果
農薬曝露は、1,956例の農業従事者、牧場労働者または漁業従事者を含む参加者7,864例(5.7%)に報告された。農薬に曝露された個体は、曝露されなかった個体よりもPDの発症率が70%高かった(補正相対リスク1.7、95%信頼区間1.2〜2.3、p=0.002)。農薬曝露の相対リスクは、農業従事者と非農業従事者とで同等であった。アスベストへの曝露、化学物質/酸/溶媒、炭塵または石粉、あるいはその他8種類の職業曝露と、PDの発症リスクとの間に相関は認められなかった。
結論
本データは、農薬曝露によりPDの発症リスクが増大する可能性があるという仮説を裏付けている。原因となる農薬の特定のため、さらなる研究が必要である。
コメント
農薬の内容や暴露の期間と程度は不明であるが、14万人を超すコホートによる前向き研究での結果は大きな意味を持つ。PDの発症に関して、遺伝因子に注目が集まる昨今であるが、環境因子の再考を指摘する意義は大きい。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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