米国における関節炎および関節炎関連動作制限の有病率の予測
Projections of US Prevalence of Arthritis and Associated Activity Limitations
J. M. Hootman and C. G. Helmick
Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta, USA
Arthritis and rheumatism 2006 Jan;54:226-9
背景
関節炎およびその他のリウマチ性疾患は日常活動能力障害の主要な原因となり、米国における最も一般的な慢性疾患の1つであり、ほぼ4,300万人の成人が患っている。
目的
2005〜2030年の米国の18歳以上の者における関節炎および関節炎による動作制限の有病率を、自己報告に基づく調査と医師により診断されている者に対する調査により最新のものに推定し直すことを目的とした。
方法
関節炎および動作制限を有する者の性別・年齢別のベースラインとなる有病率は、最新の疾患定義を使った2003年度のNational Health Interview Survey(年1回の横断的な地域住民をベースにした約31,000人の成人の健康面接調査)の結果をもとに推定した。人口予測は米国国勢調査局によるものを用いた。これらの数値をもとに2005〜2030年の関節炎および動作制限の有病率の推計を行った。
結果
自己報告調査および医師診断患者調査をもとにした関節炎の有病数は、2005年の約4,780万人から2030年には約6,700万人(成人人口の25%)に増加すると予測された。2030年までに2,500万人(成人人口の9.3%)の者が関節炎に起因する動作制限を有すると予測された。2030年には、関節炎症例の50%以上が65歳以上の高齢者と予測されているが、一方で生産年齢層(45〜64歳)の関節炎患者が全体のほぼ1/3を占めるようになると予測された。
結論
2030年には米国における関節炎および関節炎による動作制限を有する成人患者数は大幅に増加し、個人的な問題だけではなく、社会的にも医療ケア制度などにも大きな影響を及ぼす問題となると予測される。肥満の増加も関節炎の有病率に大きく寄与すると推測される。生活習慣改善や疾病の自己管理に関わる臨床医学や公衆衛生対策の恩恵を、誰しもが利用できるようにすることが重要である。
コメント
高齢社会においては、要介護の者が多くなっていく。脳卒中などの内科系疾患については予防対策も進められてきているが、一方で運動制限を有する関節炎などの問題も大きな課題であると考えられる。人々のQOLを考えるならば、日常生活動作に大きな影響を及ぼす関節炎の問題にも関心を払わなければならない。本論文は米国の将来推計であるが、わが国においても、介護予防と有病者のQOLの向上を図っていくための社会的支援体制をつくっていくうえで、このような推計が必要ではないかと思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: