家族性パーキンソン病と散発性パーキンソン病における発現症状の類似性
Phenotypic commonalities in familial and sporadic Parkinson disease
Y. Baba, K. Markopoulou, J. D. Putzke,N. R. Whaley, M. J. Farrer, Z. K. Wszolek, and R. J. Uitti
NDepartment of Neurology and Section of Neuroscience, Mayo Clinic, Jacksonville, USA
Archives of Neurology. 2006 Apr;63(4):579-83
背景
パーキンソン病(PD)は臨床的に最もよく研究されている神経変性疾患である。しかし、その発症メカニズムについては依然としてわかっていないことが多く残されている。
目的
家族性PDおよび散発性PDの発現症状について、PDの家族歴の有無、患者の人口統計学的に、また臨床医学的にその両者の特徴を比較すること。
方法
散発性PD患者については臨床的に家族歴を調査して判定した。家族性PDは遺伝子変異または遺伝子座が同定されている家族からの患者とした。調査を行った施設は、紹介患者を専門に受け入れている1つの運動障害専門診療科である。患者の総数は、散発性PD患者1,277人、家族性PD患者40人であった。これらの患者に対して性別、初期の運動障害症状、その運動障害の発現部位、および非対称性運動症状の頻度などについて臨床医学的にその特徴を分析した。
結果
家族性PDと散発性PDとでは病因が異なっているにもかかわらず、いくつかの興味深い共通点が認められた。それは、男性に罹患率が高いこと、初発運動症状として振戦(主に上肢に発症)があること、また疾患の進行過程の中で非対称性のパーキンソン症状が現れることであった。
結論
家族性PDの罹患率が男性において高いという性差が認められたことは、環境因子が男性には発症リスクを高めるように作用し、女性では発症リスク抑制的に作用しているためと思われる。家族性および散発性PDの発現症状が類似していたことは、遺伝的要因の影響があるにもかかわらず、黒質線条体において類似した局所解剖学的変化が生じてくることを示している。
コメント
パーキンソン病は、最も患者数が多い神経変性疾患である。パーキンソン病(散発例)は一般に遺伝的な要素は少なく、さまざまな環境要因などが関係して発生していると考えられている。一方で、家族的に発生している症例がある。今回の症例もほとんどの患者が散発性の患者であった。この論文は、この両PDからは両者では遺伝的要因には違いがあるものの、発症してからの発現型、症状については類似点が多いことを示すものであった。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: