CB1カンナビノイド受容体拮抗作用:肝線維症の新規治療戦略
CB1 cannabinoid receptor antagonism: a new strategy for treatment of liver fibrosis
F. Teixeira-Clerc, B. Julien, P. Grenard, J. Tran Van Nhieu, V. Deveaux, L. Li, V. Serriere-Lanneau, C. Ledent, A. Mallat, and S. Lotersztajn
INSERM, Unité 581, Hôpital Henri Mondor Créteil, France
Nature Medicine 2006 Jun;12(6):608-10
背景
肝線維症は慢性肝疾患に続発する難治性病態で、最終的には世界的に問題になる肝硬変に至る。著者らは最近、肝カンナビノイドCB2受容体の活性化が肝線維症の進行を抑えることを示した。今回、肝カンナビノイドCB1受容体(Cnr1遺伝子)を介する系が線維化を促進するのか、あるいは抑制するのかを検討した。その結果、CB1受容体は肝硬変細胞、特に線維化細胞に強く発現し、CB1受容体阻害剤のSR141716Aで線維化が抑制された。Cnr1欠損マウスでも同様の結果が得られた。この現象の原因としてTGF-βの低下とmyofibroblastのアポトーシスと増殖抑制による線維形成細胞の減少が考えられる。結局、今回の研究でCB1受容体の阻害剤は肝線維化治療になり得る。
目的
カンナビノイドCB1受容体(Cnr1によりコード化)の活性化が線維症の進行を促進し、CB1受容体阻害により線維化抑制するかどうかを検討した。
結果
ヒト肝硬変試料および肝線維形成細胞においてCB1受容体の高度発現がみられた。CB1受容体拮抗薬SR141716Aの処理により急性肝障害に対する創傷治癒反応は低下し、3種の慢性肝障害モデルにおける線維症の進行が抑制された。野生型マウスに比べ、Cnr1マウスにおいても同様の変化がみられた。CB1受容体の遺伝学的または薬理学的不活化は、肝TGF-β1の低下、およびアポトーシスと肝筋線維芽細胞の増殖抑制後の肝における線維形成細胞集積の低下によって線維形成を低減させた。
結論
CB1受容体拮抗薬は肝線維症ひいては肝硬変の治療に期待できることが示唆された。
コメント
肝硬変は日本のみならず世界的に難治性疾患で、慢性肝炎につづいて線維化が生じる不可逆性の疾患である。このため線維化防止が望まれているがきわめて困難である。本研究はこの線維化予防に一石を投じるもので、今後の臨床応用への期待を持たせるものとして注目される。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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