メディケア(公的高齢者医療保険制度)受給者におけるパーキンソン病に関連する経済的負担
Economic burden associated with Parkinson’s disease on elderly medicare beneficiaries
K. Noyes, H. Liu, Y. Li, R. Holloway, A. W. Dick
Department of Community and Preventive Medicine, University of Rochester School of Medicine, Rochester, New York, USA
Movement Disorders. 2006 Mar;21(3):362-72.
背景
これまで、パーキンソン病(以下、PD)に対する医療サービスの医療度やそれに関連する医療費負担について、米国、オーストラリア、カナダ、日本、ドイツ、英国、フランスおよびオランダなど多くの国々で研究されてきている。研究は、主として臨床医学的なもの、短期間の追跡調査によるもの、また複数のデータをもとに分析したものである。本研究は、高齢者の公的医療保険制度であるメディケアのデータを用いて、PDの有無により高齢患者における医療サービス利用状況とその医療費についてどのような関係があるのかをみたものである。
目的
PDの有無により、医療サービスの利用状況、および患者本人と社会に与える経済的負担について分析、評価すること。
方法
1992年から2000年の米国のメディケア受給者調査(Medicare Current Beneficiary Survey)のデータを用いて、PDの有無により、医療サービスの利用状況とメディケアの支出費用を計算し、比較分析した。
結果
PD患者ではその他の高齢者よりも、あらゆるカテゴリーの医療サービスを多く利用していた。また、保険外の支払い額も有意に多かった(平均±SE、$5,532±$329対$2,187±$38、p<0.001)。その他の要因を調整しても、PD患者ではPDでない患者よりも、年間の医療費がかかっていた($18,528対$10,818、p<0.001)。PD患者は医療サービスも多く利用していた(OR 3.77、95%CI 1.44〜9.88)。また、長期療養の利用(OR 3.80、95%CI 3.02〜4.79)および在宅医療の利用(OR 2.08、95%CI 1.76〜2.46)も多い状況であった。
結論
PDは患者本人および社会に与える経済的負担が有意に高い状況にあった。PDの有無と医療費および医療サービス利用との関連を理解するにはさらなる調査が必要である。しかし、この研究の結果は、PD患者に対する医療を提供している者および医療費の支払者に対して貴重な定量的な医療経済学的データを提供するものである。
コメント
本論文は、メディケアのデータを用いて、高齢者医療費の中でPD患者の医療費支出が3〜4倍多いことを定量的に示したものである。パーキンソン病は高齢者の有病率が高く、80歳代の4%を占めていると推定されている。高齢者の人口が増えると医療費の社会的負担が増えるが、それとともにPDが増加すると、さらに医療費問題が深刻化する可能性をこの研究は示しており、PDの予防方法の研究開発が急がれる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
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