血管リスクとアルツハイマー病との関連
Relationship of Vascular risk to the progression of Alzheimer disease
C. Regan, C. Katona, Z. Walker, J. Hooper, J. Donovan, G. Livingston
Royal Free & University College Medical School, UCL, Department of Mental Health Sciences, London, UK.
Neurology 2006 Oct 24 67(8):1357-62
背景
大多数のアルツハイマー病(AD)患者に、うち30%まで剖検で脳梗塞の所見が確認される微小血管の変性が認められる。疫学研究から、血管危険因子と認知機能障害発症との関連性が示されている。AD発症に関連がある血管危険因子には、糖尿病、血栓症エピソード、心房細動、喫煙、肥満およびアテローム性動脈硬化がある。
目的
AD患者で血管危険因子を有する場合と有さない場合とでは、疾患の進展に差があるという仮説を18カ月間にわたり調べること。
方法
ADの縦断的研究において、認知機能、性別および生活状況の点から、224人のAD患者と介護者を認知症患者の代表として有意に抽出した。認知、機能状態(日常生活動作)および精神神経症状を、標準的な判定法を用いて測定した。身体診察と関連する血液検査を行った。
結果
18カ月の追跡調査期間中に脳血管障害(CVA)が認められた場合を除けば、血管危険因子の有無にかかわらず悪化の程度に差は認められなかった(p<0.001)。可能性のある交絡因子として、性別、年齢、学歴、認知症の重症度、うつ病、コリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)の服用などを考慮したが、結果は変わらなかった。試験中のAChEI服用の中止は、認知および機能の低下と関連していた(p<0.001)。
結論
AD患者における血管危険因子による症状の有意な進行は認められなかったが、脳血管イベントは急速な悪化と関連していた。血管危険因子は早期のアルツハイマー病の発現に寄与するが、根本的な病因ではないと考えられる。
コメント
脳血管障害の合併がADを悪化させることを指摘した論文である。脳血管障害は既知の危険因子のコントロールである程度予防可能であることより、ADにおいては認知症進行抑制目的としての脳血管障害合併撲滅作戦を実施することが重要である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: