寛解中のSLE患者における自己抗体の持続発現
Persistent expression of autoantibodies in SLE patient in remission
S. Yurasov, T. Tiller, M. Tsuiji, K. Velinzon, V. Pascual, H. Wardemann, M. C. Nussenzweig
Laboratory of Molecular Immunology, The Rockefeller University, New York, NY 10021, USA
Journal of Experimental Medicine 2006 Oct 2;203(10):2255-61
背景
健常なヒトでは、骨髄で作られたB細胞が産生する抗体の大部分は自己反応性であるが、これらの抗体のほとんどはB細胞の分化の過程で排除される。これに対して、無治療の全身性エリテマトーデス(SLE)患者では、未成熟なB細胞が産生した自己反応性および多反応性抗体の多くを排除することができない。したがって、SLEは自己免疫疾患の代表である。
目的
治療によって寛解中であるSLE患者では、この自己反応性B細胞が存在するのか抑制されているのかを調べた。
方法
活動時および寛解時のSLE患者6人から成熟ナイーブB細胞に由来する278抗体をクローン化し、HEp-2細胞溶解物への結合により自己反応性を、またそれぞれ精製された抗原のパネルに対して多反応性の有無を調べた。
結果
寛解中のSLE患者の成熟ナイーブB細胞は、高いレベルの自己反応性および多反応性抗体を産生し続けているが、これらの抗体を産生するB細胞の数は活動期のSLE患者より少なかっただけである。
結論
発症初期に自己反応性B細胞が排除されなかった異常は、絶対的なSLEの特徴であることを示している。このため、治療により寛解状態になったとしても、自己反応性B細胞は数が少なくなっても依然として存在している。
コメント
SLEは抗核抗体を産生している自己免疫疾患の代表である。ステロイドまたは抗CD20抗体で治療して寛解状態になっていても、自己抗体産生B細胞は残存している。このことは、これらの治療はコントロールができても完治させることは困難であることを示し、治療の継続を必要とすることを意味している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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