ゾニサミドはパーキンソン病の運動機能を改善する:無作為化二重盲検試験
Zonisamide improves motor function in Parkinson disease: a randomized, double-blind study
M. Murata, K. Hasegawa, I. Kanazawa; The Japan Zonisamide on PD Study Group.
Department of Neurology, Musashi Hospital, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan.
Neurology 2007 Jan 2;68(1):45-50
背景
ゾニサミド(ZNS)は半減期(62時間)の長い抗てんかん薬である。日本で開発され、てんかん治療に10年以上にわたり使用されてきた。発端症例を含むパーキンソン病(PD)患者10例を対象としたオープン試験や小規模の二重盲検試験で、ZNSはパーキンソン病の主要な症状を有意に改善し、忍容性も良好であった。
目的
ZNS 25、50および100mgの1日1回併用投与によるPD患者での有効性、安全性、忍容性を評価すること。
方法
日本で多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験を行った。レボドパ投与に対する応答が十分でないPD患者にプラセボを2週間投与後、12週にわたってZNS 25、50または100mg/日またはプラセボをレボドパと併用投与し、その後2週間かけて用量を減少させて試験を終了した。主要評価項目は、統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)パートIIIの合計スコアの最終評価時におけるベースラインからの変化とした。副次的評価項目は、1日の合計オフ時間、UPDRSパートI、IIおよびIVの合計スコア、また改変Hoehn and Yahr Scaleスコアのベースラインからの変化とした。
結果
プラセボ投与群に対し、25mg、50mg投与群では主要評価項目に有意な改善が認められ、50mg、100mg投与群ではオフ時間が有意に減少した。ZNS投与群ではジスキネジアは増加しなかった。副作用発生率は25mg、50mg、プラセボ投与群で同等であったが、100mg投与群では高かった。
結論
25mg〜100mg/日のゾニサミドは、パーキンソン病患者の併用療法において安全および有効で忍容性も良好である。
コメント
偶然に痙攣発作を起こしたパーキンソン病患者に投与された抗てんかん薬のZNSが、痙攣を抑制したことに加え、パーキンソン症状を改善させたことに著者が気づいたことからこの物語は始まった。今回は、多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験でZNSのパーキンソン病治療補助薬としての有効性を示した報告である。とりわけwearing offの改善作用(そのため、作用機序としてドパミン合成促進が推測されている)は、その使用量が少量でよいことと併せて意義がある(抗てんかん薬として使用する場合は400mg/日投与することが多い)。様々な背景から、日本では欧米に比べてドパミンの使用量を控える傾向があるが、その習慣に寄与する薬剤の出現である。日本で開発された抗てんかん薬で、日本人が新たな効能を発見した点など、日本文化が生み出した副産物という感じがあり、医療は一種のsubcultureであるとの感を新たにした論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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