プライマリケアの場における関節炎患者の自己管理プログラムの有効性評価:無作為化対照研究による
Self management of arthritis in primary care: randomised controlled trial
M. Buszewicz, G. Rait, M. Griffin, I. Nazareth, A. Patel, A. Atkinson, J. Barlow, A. Haines
Department of Primary Care and Population Sciences, Royal Free and University College Medical School, London, UK.
BMJ 2006 Oct 28;333(7574):879
背景
これまで米国・英国において、関節炎患者に対する自己管理プログラムの有効性評価について標準的ケアと比較した研究が行われ、その結果、疾病の知識、疾病の自己管理、自己効力感の改善につながるという結果が報告されている。しかし、これまでの研究はサンプルサイズが小さく、追跡期間も短く、また信頼できる評価尺度を用いたものではない。
目的
変形性関節炎患者のプライマリケアの場において、自己管理プログラムが臨床的に有効かどうかを評価すること。
方法
英国の74人のプライマリケア医(GP)に受療している50歳以上の股関節または膝関節(あるいは両方)の変形性関節炎をもち、痛みまたは障害をもっている患者812人を対象とした無作為化対照研究を行った。対象患者を介入群と対照群に分け、介入群には教育冊子を渡し、そのうえで関節炎の自己管理教室を6回開催し参加させた。対照群には教育冊子のみを渡した。効果の判定は、QOLの評価尺度であるSF-36(short form health survey)を用いて行った。研究対象者の評価は、ベースライン、4、12カ月の時点で情報を収集して行った。
結果および考察
4、12カ月後の回答率は80%および76%であった。12カ月後の不安やうつの項目、また関節炎の疼痛およびその他に関する自己効力感において有意差が認められた。intention to treat解析とper protocol解析の結果でも有意差を認めた。つまり、関節炎患者に対してプライマリケアの場において自己管理プログラムを実施することにより不安を低下させ、被験者の疾患管理に関する自己効力感が有意に向上していた。しかし、疼痛、身体機能または受療行動には有意な影響はみられなかった。
コメント
英国では、プライマリケアの場において様々な慢性疾患を自己管理できるようなプログラム開発が進められている。本研究は、関節炎をもつ患者に対する自己管理プログラムの有効性を明らかにしようとしたものである。自己管理プログラムは、患者の不安感を減少させ、症状に関する自己効力感の高める効果があった。しかし、痛み、身体機能、受療行動の減少には意義のある結果はみられなかった。わが国においても、患者をプライマリケアの場で支援していくためのプログラムの開発と提供が必要である。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
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