関節リウマチ患者における抗TNFα治療によるTGFβを介した特異的制御性T細胞集団の誘導
Anti-TNF-α therapy induces a distinct regulatory T cell population in patients with rheumatoid arthritis via TGF-β
S. Nadkarni, C. Mauri, M. R. Ehrenstein
Centre For Rheumatology, Department of Medicine, Windeyer Institute, University College London, London, UK.
The Journal of Experimental Medicine, 2007 Jan 22;204(1):33-39
背景
制御性T(T reg)細胞の誘導は自己免疫疾患の治療法として大きな可能性を有している。著者らは以前に、活動型関節リウマチ(RA)から単離したCD4+CD25hiT reg細胞は、CD4+CD25-T細胞による炎症性サイトカイン産生を抑制する能力に欠陥があることを示した。しかしながら、この能力の欠陥は抗腫瘍壊死因子(TNF)-α抗体(インフリキシマブ)治療後に克服される。
目的
インフリキシマブがTGF-βおよびインターロイキン10を介した抑制、およびCD62L発現欠如を仲介するCD4+CD25hiFoxP3+T reg細胞を増加させることを示し、このT reg細胞サブセットが健常人および活動型RA患者に存在するナチュラルT reg細胞とは異なることを示す。
結果
in vitroでインフリキシマブは、活動型RA患者から単離されたCD4+CD25-T細胞からのCD62L-T reg細胞分化を引き起こし、このプロセスはTGF-β依存性であった。このCD62L-T reg細胞集団によって発揮される抑制能にもかかわらず、ナチュラルCD62L+T reg細胞は、インフリキシマブ治療患者において依然として欠陥を示していた。
結論
これらの結果は、RA患者における抗TNF-α治療は新たなT reg細胞の分化集団を発生させ、これが欠陥のあるナチュラルT reg細胞を補填していることを示唆している。したがって、TNF-αを抑制して炎症環境を操作することはT reg細胞の誘導および耐性の回復という治療戦略になると考えられる。
コメント
ナチュラルT reg細胞は自己免疫疾患発症活動を抑制するT細胞であるが、関節リウマチでは抑制能が欠落している。抗TNF-α治療は極めて有効性の高い治療法であるが、この治療法はTGF-βに依存するCD62LT reg細胞を誘導し活動を抑制しているようである。これはナチュラルT reg細胞とは異なるT細胞亜集団を誘導するという新しい治療概念を示している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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