免疫調節性T細胞はマウス動物モデルにおけるアテローム性動脈硬化の発症を制御する
Natural regulatory T cells control the development of atherosclerosis in mice
H. Ait-Oufella, B. L. Salomon, S. Potteaux, A. K. Robertson, P. Gourdy, J. Zoll, R. Merval, B. Esposito, J. L. Cohen, S. Fisson, R. A. FlavellA, G. K. Hansson, D. Klatzmann, A. Tedqui, Z. Mallat
Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale (Inserm), Unit 689, Centre de Recherche Cardiovasculaire Lariboisiere, Paris, France.
Nat Med. 2006 Feb;12(2):178-80.
背景
免疫系がアテローム硬化性病変の形成を調節する主要な機序であることが示唆されている。免疫調節性T細胞(Treg)は、免疫抑制的な機能を持つT細胞サブセットであり、CD4CD25 Treg細胞は、自己または非自己の抗原に対するTH1およびTH2の病的な免疫反応を抑制する。最近、IL-10を過剰発現するTH1が、アポリポ蛋白質E(Apoe)欠損モデルにおいてアテローム硬化性プラークの形成を減少させることが示された。
目的
アテローム硬化性プラークの形成の調節におけるCD4CD25 Treg細胞の役割を明らかにすること。
方法
ApoeRag2遺伝子ホモ欠損マウスを用いて、アテローム硬化性病変の形成におけるCD4CD25 Treg細胞の作用を調べた。
結果
ApoeRag2遺伝子ホモ欠損マウスで認められたアテローム硬化性病変の形成は、免疫調節性T細胞を欠くCD28ホモ欠損マウスの脾臓細胞の移植により増大された。また、その増大はCD4CD25 Treg細胞により抑制された。さらに、この作用におけるTGF-βシグナル伝達の関与も示唆された。CD4CD25のT細胞サブセットが動脈硬化病変の形成において重要な役割を果たしていることが明らかになった。本研究により病変形成の調節に関与する新たな標的分子が同定され、自己免疫疾患およびアテローム性動脈硬化に関するメカニズムが明らかになる可能性がある。
コメント
動脈硬化は脂質代謝異常によって発生すると言われていたが、最近では、免疫異常によって炎症反応が血管壁で惹起されて発生する機序の存在も示唆されるようになった。Treg細胞は免疫調節性T細胞として最近注目されている。今回の結果は、動脈硬化発症にTreg細胞の作用低下が深く関与することを示唆しており、動脈硬化発症の予防や治療に示唆を与えるものである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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