パーキンソン病患者における日中の過度の眠気症状−薬剤に起因するものなのか、疾患本態に起因するものか?
Excessive daytime sleepiness in Parkinson disease: is it the drugs or the disease?
M. D. Gjerstad, G. Alves, T. Wentzel-Larsen, D. Aarsland, J. P. Larsen
Norwegian Centre for Movement Disorders, Department of Neurology, Stavanger University Hospital, Stavanger, Norway
Neurology. 2006 Sep 12;67(5):853-8
背景
パーキンソン病患者にみられる睡眠障害は疾病の管理のうえで重要な問題となっている。しかし、日中の過度の眠気症状(EDS)の発症頻度がどのくらいあるのか、その原因は何なのかについてはまだ明らかにされていない。鎮静剤やドーパミン類の薬剤の影響なのかもわかっていない。
目的
地域におけるパーキンソン病患者に8年間の追跡調査を行い、EDSの発症頻度を人口統計学的に明らかにするとともに、臨床医学的(薬剤)についても関連要因を明らかにする。
方法
1993年の地域住民の有病者調査において把握できた232例のパーキンソン病患者を調査対象とした。4年後と8年後にこれらの患者を再調査した。調査は訪問して半構成的な聞き取り方式で行い、臨床的および人口統計学的な情報を収集した。パーキンソン病の症状、うつ症状、認知機能障害については標準化評価尺度を用いた。EDSの診断と評価については睡眠の質問調査票に加え、2001年にはエプワース眠気尺度調査票を用いた。標準化ロジスティック回帰モデルを用いて、EDSと人口統計学的、臨床的要因との関連を分析した
結果
調査対象とした232人の患者のうち、4年後138人、8年後89人については再評価を行うことができた。EDSの有病率は、1993年5.6%、1997年22.5%、2001年40.8%と年々増加し、8年間の累積有病率は54.2%であった。大部分の患者においてEDSは持続的に高頻度に存在していた。ロジスティック回帰モデルを使った分析から、EDSは年齢要因、性別、およびドーパミンアゴニスト薬剤の使用といずれも関連が認められた。
結論
日中の過度の眠気症状は、パーキンソン病の患者に高頻度で常に認められるものであった。過度の眠気症状には複数の因子が関わる病態生理機序が関連していると考えられた。今回の結果は、年齢要因と、睡眠‐覚醒調節機能障害の両方がパーキンソン病患者の過眠症の発生に関連していることを示唆するものであった。我々の患者には、ドーパミンアゴニストによる治療を行うことにより過眠症状の改善に効果を認めることができた。
コメント
パーキンソン病の患者は身体症状に苦しんでいるだけではなく、日中眠気と闘っていることが問題となっている。この過度の眠気が、パーキンソン病の治療薬によるものなのか、病気の本態に関係しているものかについて検討した論文である。複合的な要因が関係して生じていることを示唆するもので、原因については明確にできてはいないが、過度の眠気症状は高頻度にあること、年齢とともに頻度が高くなることを示しており、患者のケアにおいて強く認識しておくことが必要である。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
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