ハンチントン病における診断の予測因子
Predictors of diagnosis in Huntington disease
D. R. Langbehn, J. S. Paulsen, The Huntington Study Group
Department of Psychiatry, University of Iowa, Iowa City, USA.
Neurology. 2007 May 15;68(20):1710-7.
目的
ハンチントン病(HD)のわずかな徴候および症状は、機能障害が進行して神経性疾患としての徴候が明らかになり、診断が考慮され始める前に認められることが多い。本研究の目的は、HDの臨床診断が明確になるまでの期間に関する、これら初期の臨床的な徴候および症状の予測的意義を調べることである。
方法
ハンチントン研究グループ(Huntington Study Group)データベース中の、最初の診察時に運動機能が正常またはごく弱い運動徴候が認められた、アットリスク(病気の遺伝子をもっている可能性がある)の健常な参加者218人に由来する縦断的データを解析した。本群をHDクリニックで最長4.5年間、定期的に追跡検査を行った。生存分析を用いて、HD診断までの期間の予測因子を検討した。
結果
診断予測能は、ハンチントン病統一評価尺度(UHDRS)に由来する特定の有用な項目を用いることで有意に改善された。最初に運動障害の専門家が「弱い徴候」が存在するという全体的印象を認めた場合、診断の累積相対リスクは、追跡期間1.5年で4.68倍、また3年で3.58倍高かった。神経心理学的検査の結果で、精神運動速度が意味知識指標よりも1SD低い場合、累積リスクは1.5年で1.99倍、3年で1.81倍増加した。最後に、様々なHDの自覚症状の報告がある場合は、3年相対リスクが2.6〜3.4倍増加した。
結論
神経心理学的検査の結果、および運動障害に関する医師の評価と患者の自覚的認識の両者は、ハンチントン病診断の予測にあますことなく寄与することが、知見から示された。これらの知見は、アットリスクの人の予後評価に重要であり、結果として早期介入に役立つ可能性がある。
コメント
HDの早期診断に関する特定的臨床的徴候の意義に関する報告である。遺伝医学の進歩は著しくそれに伴い利用可能な社会資源も充実してきており、早期診断による早期介入は重要である。しかし、社会的・文化的風土により介入は困難なことが多々ある。介入の手段をみつけることがさらに重要と言える。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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