炎症マーカーとアルツハイマー病リスク:Framingham試験
Inflammatory markers and the risk of Alzheimer disease: the Framingham Study.
Z. S. Tan, A. S. Beiser, R. S. Vasan, R. Roubenoff, C. A. Dinarello, T. B. Harris, E. J. Benjamin, R. Au, D. P. Kiel, P. A. Wolf, S. Seshadri.
Department of Medicine, Institute for Aging Research, Hebrew Senior Life, Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical School, Boston, USA.
Neurology. 2007 May 29;68(22):1902-8.
目的
血清サイトカインと末梢血単核球(PBMC)による未刺激時のサイトカイン産生は、アルツハイマー病(AD)の発症リスクと関連しているかどうかを調べること。
方法
認知機能が正常な地域在住者691人(平均年齢79歳、女性62%)における、PBMCによるサイトカイ産生(未刺激時のインターロイキン1[IL-1]、IL-1レセプターアンタゴニストおよび腫瘍壊死因子α[TNF-α]産生の三分位数)血清C反応性蛋白質およびインターロイキン6(IL-6)と、AD発症リスクとの関連を調べた。
結果
臨床的な共変量により調整すると、PBMCによるIL-1産生の第2三分位群と最高三分位群(T2およびT3)、またはPBMCによるTNF-α産生の最高三分位群(T3)の個人は、最低三分位群(T1)の個人と比較してAD発症リスクが高かった(IL-1産生に関する多変量調整ハザード比[HR]T2=2.84、95%CI 1.09〜7.43;p=0.03およびT3=2.61、95%CI 0.96〜7.07;p=0.06;TNF-α産生に関する調整HR T2=1.30、95%CI 0.53〜3.17;p=0.57およびT3=2.59、95%CI 1.09〜6.12;p=0.031)。
結論
未刺激の末梢血単核球による高いIL-1またはTNF-α産生は、高齢者におけるAD発症リスクのマーカーである可能性がある。本稿のデータは、AD発症における炎症の病態生理学的役割のエビデンスを補強するものである。
コメント
いわゆる神経変性疾患は、障害される神経細胞の違いにより、アルツハイマー型認知症であったりパーキンソン病であったり、脊髄小脳変性症であったりするが、発症機序や細胞障害の過程は案外共通しているのかもしれない。アルツハイマー型認知症の発症機序として炎症が関与するデータであり、しかもIL-6やCRPではなく、proinflammatoryの関与を示唆するPBMCによる優位なIL-1とTNF-α産生を指摘した報告であり、興味深い。治療についても、抗炎症を含め免疫学的方法も考慮される可能性を示唆する論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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