アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、内因性タウ蛋白質を減少させるとβアミロイドによる障害が改善する
Reducing Endogenous Tau Ameliorates Amyloid b–Induced Deficits in an Alzheimer’s Disease Mouse Model
E. D. Roberson, K. Scearce-Levie, J. J. Palop, F. Yan, I. H. Cheng, T. Wu, H. Gerstein, G. Q. Yu, L. Mucke
Gladstone Institute of Neurological Disease, San Francisco, USA
Science. 2007 May 4;316(5825):750-4
アミロイドβペプチド(Aβ)は、アルツハイマー病を引き起こすと広く考えられており、この疾患の有力な治療法の多くはAβを標的としている。微小管結合蛋白質であるタウ蛋白質もこの疾患に関与していると考えられているが、タウ蛋白質を標的とした治療法がAβ誘導性の認知障害を防ぐか否かは、まだ明確にされていない。今回われわれは、ヒトアミロイド前駆体蛋白質を発現させた遺伝子組換えマウスにおいて、内因性タウ蛋白質濃度を減少させると、Aβの高濃度は変化しないが、行動障害が予防されることを明らかにした。また、タウ蛋白質の減少は、遺伝子組換えマウス、非組換えマウスの両方で、興奮毒性の発現を阻止した。これらの結果から、タウ蛋白質の減少は、Aβまたは興奮毒性による神経細胞機能障害を阻止することができ、アルツハイマー病や関連疾患に対する有効な治療となりうることが示された。
コメント
Aβアミロイドならびにタウ蛋白がアルツハイマー病の発症に関与すると言われている。今回、タウ蛋白質が同症における神経細胞機能障害に関与することを認めたことにより、タウ蛋白質発現抑制による新たな予防・治療を示唆している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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