全身性エリテマトーデス患者の医療サービス利用に対して医療費支払い制度(HMOおよびFFS)が及ぼす影響
Impact of health maintenance organizations and fee-for-service on health care utilization among people with systemic lupus erythematosus.
Yelin E, Trupin L, Katz P, Criswell LA, Yazdany J, Gillis J, Panopalis P
University of California, San Francisco, CA, USA.
Arthritis and Rheumatism. 2007 Apr 15;57(3):508-15.
目的
全身性エリテマトーデス(SLE)患者について、医療サービス利用状況に2つの医療費支払い方式(保健維持機構(HMO)、出来高払い(FFS))が及ぼす影響について比較分析を行うこと。
方法
2002〜2005年初めの間に受診したSLE患者982人をコホートとして系統的な受療調査を行った。2005年末までに2,656人・年の調査を行った。医療サービス利用状況について、HMO加入者とFFS方式加入者で違いがないかどうかを調査した。反復測定回帰分析を用いて、社会経済的、人口統計学的および健康状況を補正して、医療サービス利用状況を比較した。
結果
FFS加入SLE患者と比べると、HMO加入患者の方が、年齢が若く(3.3歳)、診断時年齢も若く(3.6歳)、疾患活動性分類別では活動性が低く(10点満点で0.4点)、人種別では非白人の者の割合が高く(8.8%)、経済状況別では貧困ライン以下の者の割合は低く(7.8%)、また公的保険加入状況別では加入者の割合が低かった(29.7%)。両群にはその他の患者特性に違いを認めなかった。補正を行わない場合、HMO加入SLE患者では、FFS加入患者よりも、通院回数が有意に少なく(3.1回;95%信頼区間[95%CI]1.7〜4.5)、また1回以上の外来外科受診割合が低く、また入院割合も低かった。その差は、それぞれ(6.3%;95%CI 2.5〜10.0)、(5.5%;95%CI 1.7〜9.3)であった。補正を行った場合、通院回数の差は2.3回(95%CI 1.1〜3.5)であり、また外来外科受診割合の差は4.4%(95%CI 0.6〜8.1)および入院割合の差は4.0%(95%CI 0.4〜7.7)と小さくなった。
結論
HMO加入SLE患者では、FFS加入患者よりも、救急受診する者は少なく、また外来手術を受ける者、入院する者も少なかった。この差は、患者の社会経済的特性、年齢構成、疾患特性だけでは完全に説明できないものであり、加入保険の違いによるものと思われる。
コメント
患者にとって医療費負担は大きな問題であり、受療行動に大きな影響を与える。本研究は、わが国と異なり国民が種々の民間保険に加入している米国において、加入保険の支払い方式により、受療行動にどのような影響があるのかをみたものである。わが国では、保険種別にかかわらず支払い方式は一様であり、SLE患者等の特定疾患患者には医療費公費負担制度があるため、本稿の結果をそのままあてはめることはできないが、医療費の支払い方式が患者の受診行動にどのような影響を与えるのかに関して参考になる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
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