認知症を伴うパーキンソン病およびレヴィー小体型認知症における灰白質萎縮
Gray matter atrophy in Parkinson disease with dementia and dementia with Lewy bodies
Beyer MK, Larsen JP, Aarsland D.
Department of Radiology, Stavanger University Hospital, Stavanger, Norway.
Neurology. 2007 Aug 21;69(8):747-754.
背景
レヴィー小体型認知症(DLB)と認知症を伴うパーキンソン病(PDD)との疾患分類上の関係については議論が続いている。われわれは、DLBおよびPDDにおける皮質萎縮のパターンを明らかにするため、voxel-based morphometry(VBM)を用いた研究を行った。
方法
患者54例(PDD 15例、DLB 18例、アルツハイマー型認知症[AD]21例)および対照健常高齢者20例の計74例を対象として三次元T1強調MRIを撮り、画像をVBMを用いて解析した。各疾患の診断には以下の診断基準を用いた。DLBについてはDLB Consortium第3次報告により提唱された基準、ADについてはNational Institute of Neurological and Communicative Disorders and StrokeおよびAlzheimer's Disease and Related Diseases Association(NINCDS-ADRDA)の基準、およびPDDの認知症については『精神障害の診断と統計の手引き 第4版』の基準。
結果
全体的な認知症の重症度は認知症患者グループ間で類似していた。側頭葉、頭頂葉、および後頭葉における皮質の萎縮は、PDDに比べDLBにおいてより顕著であった。PDDに比べてAD患者では、扁桃体を含む両側側頭葉における灰白質濃度の低下がみられた。DLBに比べてAD群の患者では、側頭葉および前頭葉が萎縮していた。
結論
認知症の重症度は同程度であるにもかかわらず、レヴィー小体型認知症(DLB)患者における皮質の萎縮は認知症を伴うパーキンソン病(PDD)患者に比べて顕著であり、2つの症候群の認知症の根底にある脳基質が異なっていることを示している。DLBとPDD間の微妙な臨床的および神経生物学的差異を報告したこれまでの研究とともに、われわれの知見は、PDDとDLBは同一疾患ではなく、レヴィー小体病スペクトルの2つのサブタイプであるとの仮説を支持している。
コメント
DLBは、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症とともに三大認知症の一角を形成する認知症である。コリン賦活薬が有効である可能性が高いことが判明したことと(ドネペジルが現在治験中)、本論文の主題であるDLBとPDDの異同に関する議論において最近特に注目されている。本論文は、VBMによりPDDとDLBにおける脳皮質の相違点を指摘し、どちらもレヴィー小体病の一連のスペクトルには属するが、別個の疾患である可能性を示したものである。私ども臨床家とすれば、パーキンソン症状に1年以内に認知症が加わればDLB、それ以後に加わればPDDというone-year ruleを信じていればよいのであろう。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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