Toll様受容体4の阻害による自己免疫性の破壊性関節炎における炎症の連鎖の遮断
Inhibition of Toll-like Receptor 4 Breaks the Inflammatory Loop in Autoimmune Destructive Arthritis
S. Abdollahi-Roodsaz, L. A. Joosten, M. F. Roelofs, T. R. Radstake, G. Matera, C. Popa, J. W. van der Meer, M. G. Netea, and W. B. van den Berg
Radboud University Nijmegen Medical Centre, Nijmegen, The Netherlands
Arthritis & Rheumatism 2007 Sep;56(9):2957-67
目的
軟骨組織の細胞外マトリックスの変性は、Toll様受容体4(TLR-4)を介して免疫賦活分子の産生を促す。本研究は、自己免疫性の破壊性関節炎の発症および進行におけるTLR-4活性化の関与について検討する。
方法
まず、生理的に作られるTLR-4アンタゴニストとして、高度に精製したBartonella quintana由来リポ多糖(LPS)について、マウスマクロファージおよびヒト樹状細胞(DC)を用いて検討した。コラーゲン誘導関節炎(CIA)マウス、およびインターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)遺伝子欠損による自然発症関節炎マウスに、TLR-4アンタゴニストを投与した。投与後に、関節の炎症、関節炎の組織学的特性、および関節におけるIL-1の局所発現を臨床スコアとして評価した。
結果
TLR-4アンタゴニストは、大腸菌LPSにより誘導されるDC成熟、ならびに内因性および外因性のTLR-4リガンドにより誘導されるサイトカイン産生を阻害した一方、TLR-4のみではこれらのパラメータに影響を与えなかった。TLR-4アンタゴニストを用いたCIA治療により、関節炎の臨床特性と組織学的特性が共に顕著に抑制されたが、本モデルにおいて必ず認められるII型コラーゲンに対する獲得免疫への影響は認められなかった。TLR-4アンタゴニスト投与により、関節の軟骨細胞および滑膜組織におけるIL-1β発現が強く抑制された。またこの投与により、IL-1Ra-/- マウスのIL-1を介する自己免疫性関節炎が抑制され、同マウスが軟骨疾患および骨疾患になることが妨げられた。
結論
TLR-4の阻害により、実験的関節炎における重症度が軽減され、炎症関節におけるIL-1発現が低下することが、本研究で初めて示された。今回のデータから、TLR-4は関節リウマチ治療における新たな標的となりうることが示唆された。
コメント
軟骨破壊によってIL-1等のサイトカインが出現し炎症が生じる。この時、自然免疫に関する受容体の1つであるTLR-4の活性化が、マクロファージ、樹状細胞を活性化させ、自己免疫性軟骨破壊を誘導することが示唆された。この研究は、TLR-4の阻害が新たに治療に有効であることを示唆している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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