抗TNF-α投与リウマチ患者86人の中で潜在性結核感染症と判定した者に対するイソニアジド予防投薬の介入効果
Isoniazid intervention for latent tuberculosis among 86 patients with rheumatologic disease administered with anti-TNFα
I. Hanta, S. Ozbek, S. Kuleci, M. Sert and A. Kocabas
Department of Chest Disease, Cukurova University, School of Medicine, Balcali, 01330, Adana, Turkey
Clinical Rheumatology. 2007 Nov;26(11):1867-1870.
目的
リウマチ性疾患治療のためにTNF-α(腫瘍壊死因子α)療法を受けている者の中の潜在性結核感染者に対しイソニアジド(以下INH)の予防投薬を行い、副作用の出現状況および効果を明らかにする。
方法
2005年4月〜2006年9月の間にリウマチ性疾患のために抗TNF-α療法を受けていた患者86人を対象として調査を行った。関節リウマチ症の者45人、強直性脊椎症の者36人、乾癬性関節炎の者5人であった。抗TNF-α療法を受けている患者86人中60人は潜在性結核感染症と判定され、INHによる予防投薬が行われた。予防投薬としてINHを300 mg/日、9カ月間投与した。血清ALTまたはAST値がベースライン値に対して3倍以上の上昇を示した場合は、INH投薬による肝障害ありと見なした。0カ月目の値をベースライン値とし、1、2、3、6および9カ月の時期に空腹時の血清ALTおよびAST値を測定した。
結果
対象者86人の性別は、女性47人(54.7%)、男性39人(45.3%)であった。女性の平均年齢は44.1±10.9歳、男性は38.8±10.1歳であった。INH投与者5人(8.3%)に肝障害を認めたが、INH投与を一時的に中断すると、全例で肝機能値は正常範囲に戻った。INH非投与群には肝障害を有する者はいなかった。INH投与群と非投与群の肝障害の有病率の差は統計的有意ではなかった(p=0.317)。研究期間中に86人の中で活動性結核感染症を発症した者はいなかった。
結論
リウマチ性疾患のために抗TNF-α療法を行い、その中の潜在性結核感染者に対してはINHの予防投薬を行ったが、重篤な副作用を発現した者はおらず、結核発症者もいなかった。
コメント
関節の痛みに苦しむリウマチ患者にとっては、近年登場した抗TNF-α療法は夢のような薬剤である。しかし、当初から結核既感染者の結核発症リスクを高めることが懸念されていた。結核感染者の発病予防策としてはINH予防投薬を行うことが推奨されているが、副作用が気になるところである。本研究は、INHを使った予防投薬は安全で、発病予防に有効であることを示唆するトルコにおける研究である。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学 高鳥毛 敏雄先生
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