関節リウマチに対する滑膜内特異T細胞を用いたワクチン接種
Vaccination With Selected Synovial T Cells in Rheumatoid Arthritis
G. Chen, N. Li, Y. C. Zang, D. Zhang, D. He, G. Feng, L. Ni, R. Xu, L.i Wang, B. Shen, and J. Z. Zhang
Shanghai Institute of Immunology, JiaoTong University School of Medicine, Shanghai, China.
Arthritis and Rheumatism 2007 Feb;56(2):453-63
目的
本パイロット臨床試験を実施した目的は、関節リウマチ(RA)患者の免疫応答抑制の誘導におけるT細胞ワクチン接種の役割を検討することであった。
方法
病理学的な関連性に基づき自家滑膜内特異T細胞を放射線照射により不活化し、ワクチンとした。15例の患者に対し、12カ月にわたる6回の皮下接種としてT細胞ワクチン接種を行った。
結果
T細胞ワクチン接種により、T細胞ワクチン特異的なCD4+調節性T細胞(Treg)およびCD8+細胞障害性T細胞が誘導された。接種患者において、インターロイキン10(IL-10)を産生し転写因子Foxp3を高発現するCD4+/Vβ2+Tregの選択的増殖がみられると同時に、過剰発現していたBV14+T細胞が減少した。T細胞ワクチン接種により誘導されたIL-10分泌性CD4+Tregは、IL-2受容体α鎖由来ペプチドと特異的に反応することが見出された。CD4+T細胞のFoxp3発現レベルおよびCD4+/CD25+Tregの高い抑制活性は、T細胞ワクチン接種後に有意に上昇した。認められた免疫応答抑制の誘導は、接種患者における臨床的改善と全体的に相関していた。intent-to-treat解析では、米国リウマチ学会の基準に基づく50%の改善基準を満たす定義した著明な奏効が15例中10例(66.7%)にみられ、その際RAに関連した臨床検査値も著明に改善していた。
結論
これらの所見から、T細胞ワクチン接種はRA患者に免疫応答抑制を誘導し、これは臨床評価項目および臨床検査値の改善につながることが示唆される。
コメント
関節リウマチの活性型T細胞ワクチンによる治療は初めてである。とくに調節性T細胞を誘導する治療は、関節リウマチ発症の比較的初期の時点での発症阻害が可能になり、画期的である。さらに抗原特異的反応性T細胞の活性化も抑制することが可能なら、関節リウマチの根本的治療にもなりうる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
PudMed: