急性脳卒中におけるミノサイクリン療法:非盲検、単盲検(評価者盲検)試験
Minocycline treatment in acute stroke: An open-label, evaluator-blinded study
Y. Lampl, MD, M. Boaz, PhD, R. Gilad, MD, M. Lorberboym, MD, R. Dabby, MD, A. Rapoport, MD, M. AncaHershkowitz, MD, M. Sadeh, MD
Department of Neurology, Edith Wolfson Medical Center, Holon, Israel
Neurology. 2007 Oct 2;69(14):1404-10
背景
虚血性動物モデル研究により、ミノサイクリンの神経保護作用が示されている。
目的
ヒト急性虚血性脳卒中発作におけるミノサイクリン療法の効果を分析する。
方法
非盲検、単盲検(評価者盲検)試験を実施した。ミノサイクリン200mgを5日間経口投与した。治療時間枠は脳卒中発症後6〜24時間とした。NIH脳卒中スケール(NIHSS)、修正ランキンスケール(modified Rankin Scale:mRS)、バーセルインデックス(Barthel index:BI)から得られたデータを評価した。主要目的は、NIHSSのベースラインから投与90日目までの変化を、ミノサイクリン群とプラセボ群で比較することであった。
結果
患者152例が本研究に組み入れられた。74例がミノサイクリン投与、77例がプラセボ投与を受けた。ミノサイクリン群において、NIHSSおよびmRSは有意に低く、BIスコアは有意に高かった。この傾向は、追跡調査期間7日目および30日目ですでに明らかであった。追跡調査期間中の死亡、心筋梗塞、脳卒中の再発、出血性変化には、群間差は認められなかった。
結論
急性脳卒中患者の転帰は、ミノサイクリン群のほうがプラセボ群よりも有意に良好であった。この所見は、急性虚血性脳卒中発作におけるミノサイクリンの有効性を示唆している。
コメント
今回は難病には直接関係ない脳卒中に関する論文である。minocyclineは、多発性硬化症、パーキンソン病、ALS等のモデル動物にその神経保護作用で有効であると報告されてきた。本報告は、脳梗塞の急性期にもminocyclineが有効であるとの報告である。オープンラベル試験であること、治療時間枠を発症6〜24時間としたこと、使用用量など、今後多数例で検討すべきことは多いかも知れないが、minocyclineの潜在的能力を考えるうえでも、また神経細胞変性の機序を考えるうえでも示唆に富む論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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