非ステロイド性抗炎症薬はパーキンソン病に対して保護作用を有する可能性がある
Nonsteroidal anti-inflammatory drugs may protect against Parkinson disease
Wahner AD, Bronstein JM, Bordelon YM, Ritz B.
Department of Epidemiology, UCLA School of Public Health, Los Angeles, USA.
Neurology. 2007 Nov 6;69(19):1836-42.
目的
活性化ミクログリア、血中炎症誘発性サイトカイン値上昇などの神経炎症マーカーが、パーキンソン病(PD)患者の脳および脳脊髄液中で認められている。しかし、神経炎症がPD患者の脳内で細胞死に関連している可能性があるという示唆や、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの抗炎症薬が動物モデルで神経保護作用を示すという実験によるエビデンスにもかかわらず、ヒトにおける抗炎症薬とPDとの関連はいまだ明らかにされていない。
方法
米国カリフォルニア州の3郡に居住する特発性PD患者293例と年齢、人種および性別をマッチさせた286例(対照)を対象とし、NSAIDの服用について、地域集団ベースのアプローチを用いて検討した。
結果
本研究のデータから、定期的にアスピリン系NSAIDを服用している(1週あたり2錠以上を最低1カ月間)症例に、低いPDリスクが示された(OR 0.80;95%CI 0.56〜1.15)。定期的に非アスピリン系NSAIDを服用している症例(OR 0.52;95%CI 0.35〜0.79)、特に2年もしくはそれ以上服用している症例(OR 0.44;95%CI 0.26〜0.74)では、より強い保護作用が認められた。アスピリンの作用は性別によって異なると推測され、女性に限り、特に長期にわたる(24カ月以上)定期的服用者において保護作用が認められた(OR 0.51;95%CI 0.26〜1.02)。
結論
NSAIDのPDにおける保護作用を示唆する文献は増えており、本研究はその一つとなっている。本研究の結果およびNSAIDの神経保護機能の生物学的妥当性を考えると、PDにおいてこれらの薬剤が果たすと思われる保護作用を明らかにするため、今後も研究を行っていく必要がある。
コメント
パーキンソン病において、肺炎などの感染症罹患そして軽快後にパーキンソン症状が増悪することはよく経験するところであり、他の神経変性疾患においても発症機序や細胞障害として炎症との関わりを支持する報告は多い。本報告は抗炎症薬のパーキンソン病における神経保護作用に関する論文であるが、機序は今後の検討に待たれるが、治療には比較的容易に繋がる可能性があり貴重な論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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