米国のあるマネージド・ケア医療保険加入者にみる免疫疾患患者における炎症性腸疾患の合併状況
Clustering of Inflammatory Bowel Disease With Immune Mediated Diseases Among Members of a Northern California-Managed Care Organization
Weng X, Liu L, Barcellos LF, Allison JE, Herrinton LJ.
Division of Research, Kaiser Permanente, Oakland, USA.
American Journal of Gastroenterology 2007 Jul;102(7):1429-35.
背景および目的
これまでの研究により、免疫疾患を有する者においては炎症性腸疾患(IBD)の併発頻度が一般集団よりも高いことが報告されている。本研究では、喘息、乾癬、1型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、白斑、自己免疫性甲状腺炎(グレーブス病および橋本病)および慢性糸球体腎炎などの、よくみられる免疫疾患と炎症性腸疾患(IBD)の併発状況を調べた。
方法
1996〜2005年の間にカイザーパーマネント医療保険プログラム医療保険プログラム(Kaiser Permanente Medical Care Program)の加入者を対象とし、断面調査を実施した。IBM患者群は電子カルテにおいて最低2回IBDと診断された者とし、12,601人存在した。対照群は同じく加入者の中から年齢、性別および登録期間についてIBD患者とマッチさせて、IBDと診断されていた患者1人に対し、IBDと診断されていない患者4人を抽出した。免疫疾患併発に関する情報は、1996〜2005年の電子カルテから収集した。条件付きロジスティック回帰を用い、喫煙状態で補正後、IBDと免疫疾患との関連に関するオッズ比および95%信頼区間(CI)を推定した。
結果
IBDの患者の17%、IBDでない患者の10%が、免疫疾患と診断された疾患を少なくとも1つ以上有していた。つまり、IBD患者においては非IBM患者と比べて、喘息(1.5、95%CI 1.4〜1.6)、乾癬(1.7、95%CI 1.5〜2.0)、関節リウマチ(1.9、95%CI 1.5〜2.3)および多発性硬化症(2.3、95%CI 1.6〜3.3)の有病率が高かった。
結論
IBD患者では、IBDでない患者と比べて免疫疾患の合併頻度が高いことが明らかとなった。このことは、IBDと免疫疾患との間に共通の病因が存在していることを示唆するものであった。
コメント
難病疾患の中には膠原病を含む様々な自己免疫疾患が存在している。一方、クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の原因はまだ明らかではない。本研究は、この両者の間には共通の原因が関係しているのではないかとの示唆を与えるものであった。ただし本研究は、民間の大手の医療保険会社の加入者を対象とした断面調査に基づくものであり、加入者のバイアス、診断の精度のバイアスが入っている可能性がある。しかし、本研究で示されているように両疾患群の間に関連があるとすれば、診療にあたって両疾患の合併の有無に留意して治療管理していく必要がありそうである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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