関節リウマチにおけるグルココルチコイドと心血管イベント:集団ベースのコホート研究
Glucocorticoids and Cardiovascular Events in Rheumatoid Arthritis: A Population-Based Cohort Study
Davis JM 3rd, Maradit Kremers H, Crowson CS, Nicola PJ, Ballman KV, Therneau TM, Roger VL, Gabriel SE.
Mayo Clinic, Rochester, USA.
Arthritis & Rheummatism 2007 Mar;56(3):820-30.
目的
関節リウマチ(RA)患者において、ステロイド製剤(グルココルチコイド)投与と心血管イベントとの関連について検討する。
方法
1955〜1995年にRAを発症したミネソタ州ロチェスターの成人居住者603例を、中央値13年にわたりカルテによって追跡した(計9,066人・年)。グルココルチコイドへの曝露は次の3つの方法、すなわち累積投与量の三分位値、最近の使用(3カ月以内)と過去の使用(3カ月よりも前)との対比、および平均1日投与量(7.5mg/日以下、または7.5mg/日を超える)を用いて定義した。心筋梗塞、心不全、および心血管死を含む心血管イベントを、バリデートされた基準に従って定義した。人口統計学的特性、心血管リスク因子、およびRA特性で補正したCox回帰モデルを用いた。
結果
RA患者の中で、グルココルチコイド投与を受けたリウマトイド因子(RF)陰性患者では、グルココルチコイド投与歴のないRF陰性患者(対照群)に比べ、グルココルチコイド投与量または使用時期にかかわらず、心血管イベントのリスクは高くなかった。これに対してRF陽性患者では、特に累積投与量が多い場合、平均1日投与量が多い場合、およびグルココルチコイドが最近使用されていた場合に、心血管イベントのリスクが高かった。グルココルチコイドの累積投与量が多いRF陽性患者では、心血管イベントのリスクが3倍高かったが(ハザード比3.06[95%信頼区間1.81〜5.18])、累積投与量が多くてもRF陰性患者ではリスクは高くなかった(ハザード比0.85[95%信頼区間0.39〜1.87])。
結論
RF陽性患者ではグルココルチコイド投与後の心血管イベントのリスクが高かったが、RF陰性患者ではそうではなかった。これらの所見から、グルココルチコイドはRFの有無と相互に関連してRA患者の心血管イベント発生率を変化させることが示唆される。この相互関連の基盤となる機序は不明であり、今後の研究対象とすべきである。
コメント
RA患者では心血管イベントの発生が多いと言われているが、本稿はステロイド投与およびRFの有無により発生率が異なることを統計的に示したもので、患者治療にあたって心すべき点を指摘している。慢性炎症性疾患と考えられる動脈硬化とRAによる炎症との関係の機序、グルココルチコイドの使用ならびにRFにより動脈硬化が増強される機序等について、解明すべき問題を提起している。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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