IgGの水チャンネル細胞外領域への結合が視神経脊髄炎の病因である可能性
Pathogenic potential of IgG binding to water channel extracellular domain in neuromyelitis optica
S.R. Hinson, PhD, S.J. Pittock, MD, C.F. Lucchinetti, MD, S.F. Roemer, MD, J.P. Fryer, MS, T.J., Kryzer, AS, V.A. Lennon, MD, PhD
Department of Laboratory Medicine and Pathology, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, MN, USA.
Neurology. 2007 Dec 11;69(24):2221-31.
背景
アクアポリン-4アストロサイト水チャンネルに特異的な自己抗体は、視神経脊髄炎(NMO)および関連する中枢神経系の炎症性脱髄性疾患(再発性視神経炎および長大な脊髄病巣を呈する横断性脊髄炎)患者の血清および脳脊髄液(CSF)に限定して認められる。NMOに典型的な病変は、多発性硬化症(MS)に典型的な病変とは異なる。アクアポリン-4は、免疫グロブリン(Ig)G、Mおよび末端補体複合体の局所沈着を伴う浮腫/炎症の血管部位で選択的に消失しており、ミエリン減少が認められる場合とそうでない場合がある。抗原特異的な自己抗体の病因性に関するエビデンスは少ない。
方法
共焦点顕微鏡とフローサイトメトリーを用いて、アクアポリン-4のGFP融合体(細胞内N末端で融合)を発現している標的生細胞の表面エピトープへのIg結合の選択性および免疫病理学的意義を評価した。NMO患者、神経性疾患患者(対照)および健常被験者から採取した血清、IgG含有画分およびIgG除去画分、ならびにCSFを検査した。また、成人マウス由来のミエリン化した視神経におけるアクアポリン-4の免疫反応性、およびNMO患者由来の保存脳組織における血漿Igアイソタイプも分析した。
結果
NMO患者由来の血清IgGは、アクアポリン-4の細胞外領域に結合する。この結合はIgG1が主で、アクアポリン-4のエンドサイトーシス/分解および補体活性化という2つの競合する可能性のある結果を惹起する。血清およびCSFではアクアポリン-4特異的なIgMが少なく、またNMOのCNS病変の血漿にはIgGしか認められない。傍絞輪部のアストロサイトのエンドフィートにおけるアクアポリン-4の発現は高い。
結論
NMO患者の血清IgGは、アクアポリン-4を発現する細胞膜に対し選択的な病理作用を有する。ランビエ絞輪周辺部におけるアストロサイト突起を標的とするIgGが脱髄を惹起する可能性がある。
コメント
NMO IgGは、中枢神経系の特発性脱髄疾患で最初の診断マーカーとなったものである。NMOとOSMS(視神経脊髄型多発性硬化症)との異同等、解決すべき課題はあるが、少なくともNMOはその治療においても血漿交換が著効するなどMSとは異なり、発症に抗体依存的な機序が示唆される。NMO IgGを世界で最初に報告したV.A. Lennonのグループが、その病因的意義を示した報告である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: