サルコイドーシスにおける遺伝子・環境要因の相互作用:挑戦と目標達成の可能性
Gene-environment interactions in sarcoidosis: challenge and opportunity
Daniel A. Culver, DO, Lee S. Newman, MD, Mani S. Kavuru, MD
Department of Pulmonary, Allergy and Critical Care Medicine, Cleveland Clinic, Cleveland, OH USA.
Clinical Dermatology. 2007 May-Jun;25(3):267-75.
ヒトの疾患感受性は多遺伝子で決められており、サルコイドーシスの発症率、その表現型、またはその両者は、多くの単一遺伝子が組み合わさった遺伝子機能多型の組み合わせによって生じている。このため、個々の遺伝子がヒトに与えている影響は大きなものではないが、ヒトの集団全体に対する寄与リスクは大きなものとなる可能性がある。環境曝露は、疾患発症の誘発要因となったり、またはその環境要因が遺伝子作用を修飾することにより、遺伝子多型の作用を変化させたりしている可能性がある。いくつかの疾患において、その発症には遺伝子多型が環境条件に依存していること、つまり特定の環境曝露下においてのみ遺伝子が発現することが明らかにされている。サルコイドーシスの感受性は、遺伝子および環境要因の両者に依存しているため、サルコイドーシスの遺伝子と環境要因との相互作用を研究することは、サルコイドーシスの病因解明にとって重要な手がかりを得ることにつながる可能性がある。感受性遺伝子座の範囲を解明していくことも重要である。しかし両者の関係は複雑であるため、遺伝子・環境の相互関係を明らかにする研究のためには、曝露条件を細かく区分けし、類似の臨床表現型を示す大規模コホートを設定することが必要である。一般に、遺伝子・環境の相互作用に関する研究を行うためには、いずれか一方の要因を明らかにする研究と比べてサンプルサイズは少なくとも数倍は必要となる。今までに、アフリカ系米国人家系において、1つのサルコイドーシスの感受性遺伝子座HLA-DQB1に、いくつかの環境的修飾因子が関係して発症していることが明らかにされている。本論文は、サルコイドーシスにおける遺伝子・環境の相互作用の研究でこれまで明らかにされた知見を総説としてまとめたものである。
コメント
人間の遺伝子は解読されている。しかし、病気の発病との関連の研究はこれからである。ある病気の遺伝子を持っていても発病する人と発病しない人がいることがわかっている。遺伝子相互の作用が複雑なだけでなく、ヒトの外にある環境要因が疾病の発病に大きな影響を与えているためである。疾患遺伝子を持っていることはどうにもできないことであるが、どのような環境要因を避ければ発病しないで一生を過ごすことができるのかが明らかになれば、医学の進歩が人類に恩恵を与えることになる。そこまでの道のりが遠そうである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: