腫瘍壊死因子-α阻害薬投与を受けた関節リウマチ患者における重篤な細菌感染症のリスク
Risk of serious bacterial infections among rheumatoid arthritis patients exposed to tumor necrosis factor alpha antagonists.
Curtis JR, Patkar N, Xie A, Martin C, Allison JJ, Saag M, Shatin D, Saag KG.
University of Alabama at Birmingham, Center for Education and Research on Therapeutics, AL, USA.
Arthritis & Rheumatism. 2007 Apr;56(4):1125-33
目的
関節リウマチ(RA)患者における腫瘍壊死因子α(TNF-α)阻害薬の投与に伴う重篤な細菌感染症のリスクについて評価すること。
方法
大規模医療組織に登録された米国のRA患者を対象とした後ろ向きコホート研究において、TNF-α阻害薬またはメトトレキサート(MTX)のいずれかの投与を受けた患者を特定した。管理データを用いて細菌感染の可能性による入院を特定し、また対応するカルテを抽出して感染症専門医の精査により感染症の確定所見を調べた。比例ハザードモデルを用いて、TNF-α阻害薬に関連する感染症リスクの時間依存性について評価した。
結果
TNF-α阻害薬(2,393例、観察期間は3,894人・年)またはMTX(2,933例、4,846人・年)の投与を受けたRA患者の病院カルテから、細菌感染の疑いで受診したものを抽出した(187件)。追跡調査期間(中央値17カ月間)において、医師により細菌感染症が確定診断された患者の入院率は、TNF-α阻害薬投与患者では2.7%であったのに対しMTXのみの投与を受けた患者では2.0%であった。MTX単剤投与患者に対するTNF-α阻害薬投与患者の感染症の多変量補正ハザード比(HR)は1.9(95%信頼区間[95%CI]1.3〜2.8)であった。感染症の発症率はTNF-α阻害薬投与開始後6カ月以内が最も高かった(100人・年当たりの感染症:2.9件対1.4件、多変量補正HR:4.2、95%CI:2.0〜8.8)。
結論
MTX単剤投与患者に対するTNF-α阻害薬投与患者の、医師により確定診断された細菌感染症による入院の多変量補正リスクは、全体では約2倍、最初の6カ月間では約4倍高かった。感染症の転帰を定義するために用いた方法にかかわらず、RA患者の重篤な感染症のリスクは高かった。TNF-α阻害薬を用いる場合、患者および医師は感染症の徴候を注意深く監視すべきであり、投与開始直後においては特にそれが求められる。
コメント
TNF-α阻害薬療法に伴う有害事象の中で最も注意を要するのは感染症と言われているが、その客観的な評価は十分にされてはいなかった。MTX単独よりTNF-α阻害薬使用例の方が感染率が高いということが示された。しかし、TNF-α阻害薬にはさまざまな種類があり、それぞれについての感染頻度のデータが不足するとともに、TNF-α阻害薬単独とMTXとの併用との差も解析されたらよかったと思われる。さらに、TNF-α阻害による種々の微生物ごとの易感染の機序に示唆を与える解析もほしかった。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 身体防御健康医学 吉崎 和幸先生
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