筋萎縮性側索硬化症におけるアンジオゲニンの機能喪失変異
Angiogenin Loss-of-Function Mutations in Amyotrophic Lateral Sclerosis
David Wu, MD, PhD, Wenhao Yu, PhD, Hiroko Kishikawa, PhD, Rebecca D. Folkerth, MD, A. John Iafrate, MD, PhD, Yiping Shen, PhD, Winnie Xin, PhD, Katherine Sims, MD, and Guo-fu Hu, PhD
Department of Pathology, Brigham and Women's Hospital, Boston, MA 02114, USA.
Annals of Neurology 2007 Dec;62(6):609-17.
目的
血管新生リボヌクレアーゼであるアンジオゲニン(angiogenin:ANG)のコード領域におけるヘテロ接合体ミスセンス変異が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で報告されている。しかし、運動ニューロン生理学におけるANGの役割、およびこれらの変異の機能的な結果は不明である。新たな変異を探索し、これらの変異の機能的結果を明確にすることを試みた。
方法
北米に居住するALS患者の独立コホートにおいてANGのコード領域の配列を決定した。さらに、血管新生、リボヌクレアーゼによる分解、および核移行の機能的解析法を用いて、特定されたANGの変異を特徴付けた。正常ヒト胎児および成人の脊髄におけるANGの発現についても調べた。
結果
ALS患者298例由来のANGのコード領域で4つの変異を特定した。これらの変異のうち3つは成熟蛋白質に存在している。4つの変異のうち、P(-4)S、S28NおよびP112Lは新規で、K17Iはこれまでに報告されている。機能解析により、これらのANG変異は完全な機能喪失をきたすことが示された。変異型ANG蛋白は、リボヌクレアーゼ活性、核移行、または両者の欠損により、血管新生を誘導することができなかった。一方で、発育中の胎児および成人由来の正常ヒト脊髄の血管内皮細胞および運動ニューロンにおけるANGの強い発現も示された。
結論
ALS患者で特定されたANG変異はANG活性の機能喪失を引き起こすという証拠が初めて示された。さらに、正常ヒト胎児および成人の脊髄ニューロンおよび血管内皮細胞におけるANGの強い発現は、ANGの機能異常がALS発症に関連している可能性を裏付けるものである。
コメント
ANG遺伝子変異によるANG蛋白の機能異常が運動ニューロンの生理学的機能異常に関与していることを指摘した最初の報告である。ALSの発症との関連で興味が持たれるが、今後は運動ニューロンの分化や生存に対するANGの影響を検討する必要がある。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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