運動ニューロン疾患動物モデルを用いた細胞治療および幹細胞研究
Cell therapy and stem cells in animal models of motor neuron disorders
Eva Hedlund, Michael. P. Hefferan, Martin Marsala and Ole Isacson
Neuroregeneration Laboratory, Center for Neuroregeneration Research, McLean Hospital/Harvard Medical School, Belmont, MA 02478, USA.
European Journal of Neuroscience 2007 Oct;26(7):1721-37.
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)、脊髄性筋萎縮症、および呼吸窮迫を伴う脊髄性筋萎縮症1型(SMARD1)は、主に運動ニューロンに影響する神経変性疾患であり、現在のところ有効な治療法はない。最近、動物モデルに加え、変異型銅・亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ1の過剰発現を利用したALSの初期細胞またはES細胞モデルを使った研究が行われている。これらの研究から、運動ニューロンの変性は部分的に細胞非自律的事象であり、またミクログリアまたは増殖因子分泌細胞などのような遺伝子損傷のない支持細胞を投与することにより、発症が遅延して生存率が上昇することが示されている。急性の運動ニューロン疾患モデルを用いた研究から、脊髄にES細胞由来の運動ニューロンを移植することにより、筋標的の刺激および機能回復の向上が可能であることが示されている。損傷した運動ニューロンのみならず、損傷した介在ニューロンや非神経細胞を保護するか置換する細胞治療が、運動ニューロン疾患の治療法となりうる論理的根拠が示されてきている。本論文は、これまでに行われてきている運動ニューロン疾患動物モデルを用いた幹細胞研究と細胞治療の研究論文をレビューして、現時点までの研究の到達点をまとめたものである。
コメント
神経細胞は再生不可能であり、そのために神経変性疾患は難病となっている。しかし、最近の動物モデルを用いた幹細胞研究成果からすると、近い将来、神経変性疾患は治癒しうる疾患となる可能性が示唆されている。障害や疾病を有する多くの人々の福音となる革命的な医学研究となる可能性があり、その発展に期待したい。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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