アデノシンA2A受容体アンタゴニストIstradefylline(KW-6002)はパーキンソン病において「オフ」時間を減少させる:多施設共同二重盲検無作為化臨床試験(6002-US-005)
Adenosine A2A Receptor Antagonist Istradefylline (KW-6002) Reduces “Off” Time in Parkinson’s Disease: A Double-Blind, Randomized, Multicenter Clinical Trial (6002-US-005)
Peter A. LeWitt, MD, M. Guttman, James W. Tetrud, MD, Paul J. Tuite, MD, Akihisa Mori, PhD, Philip Chaikin, PharmD, MD, and Neil M. Sussman, MD; 6002-US-005 Study Group
Department of Neurology, Henry Ford Hospital, Southfield, MI 48034, USA.
Annales of Neurology. 2008 Mar;63(3):295-302.
目的
パーキンソン病(PD)の病態生理に関連する非ドーパミン作動性経路の新たな理解に基づき、選択的アデノシンA2A受容体アンタゴニストistradefyllineはPD治療薬として有望である。
方法
顕著な運動症状の日内変動が認められるレボドーパで治療中のPD被験者において、istradefylline(40mg/日)の効果を調べた。北米23カ所で、196人の被験者を、istradefylline(114人が試験を終了)群またはプラセボ(58人が試験を終了)群の二群に、12週間の外来通院での臨床試験とする二重盲検試験に無作為に割り付けた。主要有効性評価項目は、ベースラインからエンドポイントまでの日中の覚醒時の「オフ」時間(被験者がPD患者日記を用いて記録)の割合の変化であった。副次的評価項目として、「オン」時間(「ジスキネジアを伴うオン時間」を含む)、パーキンソン病統一評価尺度(UPDRS)およびClinical Global Impression-Improvement of Illness(CGI-I)のスコアを評価した。安全性のモニタリングには、臨床検査値、心電図、バイタルサインおよび有害事象のモニタリングが含まれていた。
結果
無作為化後、約88%の被験者が二重盲検期間を終了した。ベースラインと比較して、日中の覚醒時の「オフ」時間の減少の平均値(±標準偏差)は、istradefylline投与群で−10.8±16.6%(95%信頼区間[95%CI]−13.46〜−7.52)、プラセボ投与群で−4.0±15.7%(95%CI −7.73〜−0.31;二元配置分散分析でP=0.007)であった。この効果は、istradefylline投与群で−1.8±2.8時間およびプラセボ投与群で−0.6±2.7時間(P=0.005)の日中の覚醒時の総「オフ」時間のベースラインからの変化に対応していた。istradefylline投与により認められた有害事象は、通常軽度であった。
結論
istradefyllineは安全性が高く、忍容性が良好であり、厄介なジスキネジアを増強させることなく臨床的に意味のある「オフ」時間の減少をもたらした。
コメント
パーキンソン病ではドーパミンニューロンだけではなく、アセチルコリンニューロン、セロトニンニューロン、ノルアドレナリンニューロンも傷害されるが、治療の中心は依然ドーパミン作動薬である。本論文は、ドーパミン作動薬以外のアデノシンA2A受容体選択的拮抗薬が、Lドーパ長期服用時に問題となるウエアリング・オフと呼ばれる現象の「オフ」時間を短縮させ、しかもジスキネジア等の好ましくない運動症状には無関係であることを指摘したものである。久しぶりの非ドーパミン作動薬の登場であり、臨床試験のスムーズな進行を期待する。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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