クローン病者に対するインフリキシマブ投与による液性・細胞性免疫能力の監視による感染症発病リスク予測と予防
Humoral and cellular monitoring to predict the development of infection in Crohn's disease patients beginning treatment with infliximab
Carbone J, Gonzalez-Lara V, Sarmiento E, Chean C, Perez JL, Marin I, Rodríguez-Molina JJ, Gil J, Fernández-Cruz E.
Department of Immunology, University Hospital Gregorio Marañon, Dr. Esquerdo 46, 28007, Madrid, Spain
Annals of the New York Academy of Sciences 2007 Jun;1107:346-55
インフリキシマブ投与による重篤な感染症の併発はまれではあるが、投与を始める前に感染症発病リスクの高い患者をスクリーニングすることが大切である。われわれは、クローン病患者に対しインフリキシマブ投与後により複数の免疫マーカーを使うことで感染症発症を予測できないか検討を行った。瘻孔を有するクローン病患者34例(平均年齢37歳)を対象に前向きに追跡調査を行った。患者に対しインフリキシマブ(5mg/kg)の点滴投与を0、2、6週目の3回行った。免疫学的検査として、血清免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)、IgGサブクラス、補体(C3、C4、B因子)を免疫比濁法により測定し、CD3+、CD3+CD4+、CD3+CD8+、CD19+、CD56+CD3−リンパ球サブセットを、フローサイトメトリーを使って分析した。平均56カ月追跡した。その調査期間中に1例の播種性結核の発症者があった。2例に重篤な細菌感染症の発症者がいた。 感染症の発症との関連では、ベースライン検査値と比較すると、発症者ではIgM値(246mg/dL対121mg/dL;Mann-Whitney検定、P=0.01)が有意に高く、C3(64対118、P=0.02)、C4(12対25、P=0.02)、ならびにCD19 B細胞レベル(47対290、P=0.03)が有意に低かった。インフリキシマブ投与患者の感染症リスクを評価するうえで、免疫能のモニタリングは意義があると結論づけるには、サンプルサイズを増やした前向き研究が必要である。
コメント
免疫抑制薬であるインフリキシマブは、自己免疫疾患の患者の症状を劇的に改善する治療薬として使われるようになってきている。しかし、クローン病患者に対する投与でも感染症の発症が問題となっている。重篤な感染症はまれであると述べているが、34人中3人に重篤な感染症の併発があったことは重要である。発病リスクの高い人はどのような人であるかを監視するための指標の開発が待たれる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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