インターフェロンβとアトルバスタチンとの併用は多発性硬化症において疾患活動性を増大させる可能性がある
Combining beta interferon and atorvastatin may increase disease activity in multiple sclerosis
G. Birnbaum, MD, B. Cree, MD, PhD, MCR, I. Altafullah, MD, M. Zinser, RN, BSN, A.T. Reder, MD
MS Treatment and Research Center, Minneapolis Clinic of Neurology, 4225 Golden Valley Road, Golden Valley, MN 55422, USA.
Neurology 2008 Jun 4.
目的
インターフェロンβ-1a 44mcgを週3回皮下投与している再発寛解型多発性硬化症(MS)患者に対し、高用量アトルバスタチンの投与が安全かどうかを検討する。
方法
標準的なインターフェロンβ-1aの高用量皮下投与を行っている臨床的に安定な再発寛解型MS患者を対象として、プラセボ群、1日あたりアトルバスタチン40mgを6カ月間投与する群、または80mgを投与する群のいずれかに、二重盲検で無作為に割り付けた。盲検化された神経学的検査および脳のMRI検査を0、3、6および9カ月目に行った。臨床血液検査を月に1回行った。主要評価項目は、血液検査およびECGを用いた薬物毒性の測定、ならびにMS関連の疾患活動性(臨床的再発、あるいはMRIでの新規または造影剤強調病変のいずれか)の測定であった。
結果
試験薬を被験者26例に1回以上投与した。1日あたりアトルバスタチン40mgまたは80mgを投与した被験者17例のうち10例に、MRIでの新規または造影効果をもつT2強調病変、あるいは臨床的再発のいずれかが認められた。プラセボ群の被験者9例のうち1例に、MRIの活動性病変を伴う再発が認められた。プラセボ群と比較してアトルバスタチン群では、臨床的またはMRIの疾患活動性リスクが高かった(p=0.019)。血液検査における有意な変化は、アトルバスタチン群の被験者においての低コレステロール値のみ顕著であった。
結論
多発性硬化症患者へのアトルバスタチン40mgまたは80mgと週3回のインターフェロンβ-1a 44mcgとの併用投与により、MRIおよび臨床的疾患活動性が増大した。本併用投与を行う場合には注意が必要である。
コメント
インターフェロンβ、スタチンは、その作用機序はそれぞれ推測され確定はしていないが、MSに有効との報告が多くなってきた。両者を併用すればさらなる効果があるであろうとの仮説で始められた研究である。アトルバスタチン以外のスタチン、スタチンの使用量など、検討すべき点はあるが、今回の検討ではアトルバスタチンとインターフェロβ-1aとの併用でMSは増悪しており、その作用機序として拮抗的作用も推測されている。インターフェロン療法中の高脂血症合併MS患者で高脂血症に対しアトルバスタチンを使用する時は注意が必要である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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