関節リウマチ薬が心疾患に有益である可能性
Drugs for rheumatoid arthritis may have heart benefits
Janice Hopkins Tanne, New York
BMJ. 2008 March 15 ;336(7644):580
関節リウマチ患者4,363例を対象とした国際研究により、大半の関節リウマチ治療薬の投与によって、心血管イベントが減少することが示された(Arthritis Research and Therapy 2008;10:R30; doi: 10.1186/ar2383)。
メトトレキサート、レフルノミド、グルココルチコイド、スルファサラジン、および腫瘍壊死因子α阻害薬といった治療薬について調査したこの研究では、おそらく抗炎症作用によって、これらの治療薬が患者の心血管イベントのリスク増加を低減させることが示された。
マラリア薬および金の筋肉内投与による心血管疾患リスクの変化は認められなかった。QUESTRA(questionnaires in standard monitoring of patients with rheumatoid arthritis programme)と呼ばれるこの試験は、スペインのLas Palmas de Gran Canaria大学のAntonio Naranjoの主導で行われた。試験では、アルゼンチン、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ポーランド、セルビア、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国、および米国の15カ国の48病院で関節リウマチ患者を追跡調査した。
一般集団と比較して、関節リウマチ患者は心血管イベント、特に心筋梗塞を発症する可能性が30〜60%高い、と著者らは述べている。また、冠動脈および脳血管のアテローム性硬化症の進展による死亡率の上昇が認められている。「心血管イベントは、関節リウマチ[を有する患者]で約10年早く発症しており、真性糖尿病と同様に、関節リウマチは早発性虚血性心疾患の独立危険因子であることを示している」と著者らは記している。
年齢、性別、疾患活動性、および従来の危険因子で補正した場合、心血管イベントのリスクは関節リウマチの治療薬投与と強く相関していた。
短期治療と比較して、最も広く使用されている関節リウマチ治療薬であるメトトレキサートの1年間の投与は、全心血管イベントリスクの15%、心筋梗塞リスクの18%、および脳卒中リスクの11%の低下に関連していた。特定の薬物による長期治療が、心血管イベントのリスク低下に関連していた。
コメント
炎症マーカー値が高い人を追跡した調査から、動脈硬化症、糖尿病などの背後に炎症メカニズムが関係しているとの報告が増えてきている。本報告は、関節リウマチ薬投与による抗炎症作用により心血管イベントの低下につながっている可能性について、幾つかの研究報告の知見をもとに解説した記事である。治療薬が目的とする疾患の治療だけでなく、他の病気の予防にも役に立っているという点は興味深い報告であると思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生