全身性エリテマトーデス患者の回避可能な入院
Avoidable Hospitalizations in Patients With Systemic Lupus Erythematosus
MICHAEL M. WARD
Arthritis & Rheumatism. 2008 Feb;59(2): 162–168
目的
「回避可能な入院」とは、外来での迅速かつ適切な治療や管理がなされていれば回避できたと思われる入院である。したがって、回避可能な入院の件数は、受療困難度、または医療サービスの適切な利用状況の指標となる。本研究では、全身性エリテマトーデス(SLE)患者を対象として回避可能な入院の危険要因を検討した。
方法
2000年から2002年の間にニューヨーク州で入院した18歳以上のSLE患者8,670例の地域ベースの急性期入院患者に関するデータを入手して分析を行った。入院が回避可能であったものかどうかについての判断は、入院時の主な病状に基づいて行った。患者の人口統計学的特性および病院の特性を危険要因として検討を行った。
結果
入院16,751件のうち、2,123件(12.7%)が回避可能な入院と判断された。多かった病態は、肺炎、うっ血性心不全、蜂巣炎であった。入院が回避可能と考えられる患者の発生率は年齢とともに上昇し、一般の医療保険よりもメディケアに加入している患者で、また社会経済的地位が低い患者で高かった。SLE患者の入院をあまり扱っていない病院と比べ、入院を多数扱っている病院において回避可能の入院の発生率が少なかった。
結論
回避可能な入院は、高齢患者および経済的に困窮している患者で多く発生していた。そのような患者は、医療を利用することが困難な状況におかれていることが示唆された。SLE患者の入院を多く扱っている病院で回避可能な入院のリスクが低かったことは、多くの患者を扱っている病院では選択された患者を扱っているためか、あるいはそのような病院では医師の外来の患者管理が優れているためなのか、と考えられる。
コメント
慢性疾患の外来患者の入院回避の現状を分析した論文である。不要な入院には患者の経済状況が関係していること、治療に慣れた病院では入院を少なくできているとの結果が示されている。難病患者の管理には医療制度などの問題が大きいことを示している。わが国でも同様の現状があるのではないかと予測される。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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