腫瘍壊死因子受容体の循環血中濃度は関節リウマチ患者の死亡率の有力な予測因子となる
Circulating levels of tumor necrosis factor receptors are highly predictive of mortality in patients with rheumatoid arthritis.
Mattey DL, Glossop JR, Nixon NB, Dawes PT
University Hospital of North Staffordshire, Hartshill, Stoke-on-Trent, Staffordshire, UK.
Arthritis Rheumatism 2007 Dec;56(12):3940-8
目的
可溶性腫瘍壊死因子受容体(sTNFR)の循環血中濃度によって関節リウマチ(RA)における死亡率が予測できるかどうかを検討する。
方法
白人のRA患者401例を対象に、本研究への登録時点における血清中のsTNFRI濃度とsTNFRII濃度を、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて定量し、13年間にわたり追跡調査した。National Health Service Central Registerを通じて患者の追跡調査を行い、Cox比例ハザード回帰モデルを用いてsTNFR濃度と死亡率の関係について解析した。ハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。
結果
追跡調査期間の終了時点で401例中132例(32.9%)が死亡していた。これらのうち64例(48.5%)の死因は心血管疾患(CVD)であった。全死因死亡率とベースライン時のsTNFRI濃度およびsTNFRII濃度との間の有意な関連が、男性(それぞれHR 1.7[95%CI 1.2〜2.4]とHR 1.18[95%CI 1.05〜1.32])および女性(それぞれHR 1.33[95%CI 0.99〜1.8]とHR 1.14[95%CI 1.02〜1.28])において確認された。sTNFRI濃度とsTNFRII濃度の両方を含めた解析から、最も優れた総死亡率の予測因子はsTNFRII濃度であることが示された。多変量解析からも、sTNFRII濃度は年齢、性別、罹患期間、C反応性蛋白値、赤血球沈降速度、リウマチ因子、小結節性病変、修正Health Assessment Questionnaireスコア、CVD治療薬使用の有無、喫煙状況とは無関係に、全死因死亡率およびCVD死亡率の予測因子となることが明らかとなった。
結論
今回のデータから、血清sTNFR濃度はRAにおける死亡率の有力な予測因子となることが示されている。高い濃度は特にCVDによる死亡率と関連し、早期死亡リスクが高い患者の特定に有用である可能性がある。
コメント
関節リウマチは慢性炎症性疾患で、TNF-αは病態を形成するサイトカインの一種である。心血管イベントを生じる原因は動脈硬化が主で、これも一種の血管の慢性炎症と考えられ、関節リウマチに合併しやすい。このためTNF-αは動脈硬化成因に何らかの関与があると考えられているが、詳細は不明であった。TNF-α受容体分子はI型とII型があるが、前者は多種の細胞に分布しているが、II型は造血細胞、リンパ球に強く発現され、T細胞の分化に関与するばかりでなく、細胞傷害にも関与する。本論文ではじめて可溶性のTNF-α受容体、特にII型受容体が心血管イベントに関与しそうであることを示した意義は大きい。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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