3種の早期パーキンソン病治療法を比較した無作為化PDRG-UK試験の14年間の最終報告
Fourteen-year final report of the randomized PDRG-UK trial comparing three initial treatments in PD
R. Katzenschlager, MD, J. Head, MSc, A. Schrag, PhD, Y. Ben-Shlomo, FFPH, A. Evans, MD, A.J. Lees, MD, On behalf of the Parkinson’s Disease Research Group of the United Kingdom
Neurology. 2008 Jun 25;71:474-480
背景
英国パーキンソン病研究グループ(Parkinson’s Disease Research Group of the United Kingdom:PDRG-UK)が実施した試験の10年間にわたる追跡調査の結果から、早期パーキンソン病では、L-ドーパと比較して、ブロモクリプチンによる治療開始には長期的な利点がないことが認められた。セレギリンをL-ドーパと併用した患者では死亡率が高かったため、この群は6年経過時点で早期中止となった。
方法
1985年から1990年にかけて、非盲検実用(open pragmatic)多施設試験に患者782例を組み入れ、L-ドーパ/脱炭酸酵素阻害薬(DDCI)、L-ドーパ/DDCI+セレギリン、またはブロモクリプチンの投与に無作為に割り付けた。主要評価項目は、死亡率、障害、運動合併症とした。最終追跡調査では、健康関連QOLと精神機能についても評価した。
結果
連絡がとれた生存被験者166例(21%)において、最終評価時点の追跡調査期間の中央値は14年間であった。ベースライン特性で補正すると、障害スコアはブロモクリプチン群よりもL-ドーパ群で良好であった(Websterスケールでは16.6対19.8、P=0.03;Northwestern University Disabilityスケールでは34.3対30.0、P=0.05)。SF-36(36-item short form health survey)の身体機能(群間差20.8、95%CI 10.0〜31.6、P<0.001)およびphysical summaryスコア(群間差5.2、95%CI 0.7〜9.7、P=0.03)もL-ドーパ群の方が良好であった。死亡率、ジスキネジアの有病率、運動症状の変動、認知症については群間で有意差は認められなかった。
結論
ドーパミン作動薬であるブロモクリプチンによる初期治療には、死亡率の低下および運動障害の軽減効果は認められず、初期にみられた運動合併症の頻度低下は持続しなかった。ドーパミン作動薬による初期治療には、長期的な利点および臨床的に有意義な疾患治療効果は認められなかった。
コメント
パーキンソン病の治療の中心はL-ドーパであることの再確認(復権といえるかも知れない)が最近の趨勢のようであるが、それを支持するデータである。最近まで、初期パーキンソン病ではL-ドーパの使用は可能な限り控え、ドーパミンアゴニストによる治療が推奨されてきた。長期にわたらざるを得ないパーキンソン病治療の、特に後期においては、L-ドーパの副作用との闘いばかりが前面に出ることが多かった。つまりL-ドーパは悪者扱いされてきたのである。慢性疾患の長期的展望に立った治療の重要性を示唆するとともに、臨床家として反省させられる点を多く含んだ論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: