医師の4人に1人がNICEに承認されていない薬の説明を骨髄腫患者にしていない
One in four doctors don’t tell myeloma patients about drugs not approved by NICE
Zosia Kmietowicz
London
BMJ. 2008 August 27 ;337(a1453)
骨髄腫患者の治療を担当する医師の4分の1が、患者を悩ませないように、英国の国立保健医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence:NICE)が承認していない薬については患者に伝えていないとの調査結果が示された。レナリドマイドの製造元であるCelgene社からの資金提供を受けている慈善団体Myeloma UKが、この新薬について、イングランド、ウェールズ、スコットランドの骨髄腫専門の医師103名を対象として電話調査を実施した。この薬は、現在NICEが評価作業が終わっていない、承認されていない薬である。NICEが承認していない薬に関する情報を患者に伝えていない理由として医師が挙げている主なものは、プライマリケアトラストが治療費を支払ってくれない可能性があり、その場合患者が混乱することになるのを避けるためということであった。 調査対象となった医師の約4分の3(74%)が、医師が望ましいと考えて選択して実施した治療行為を、費用を主な理由としてプライマリケアトラストから却下された経験を持っていた。また、医師の4分の3が、治療方法の選択について患者から合意を得る方法については指導を受けたことがないと回答していた。また、医師の5分の1が、骨髄腫の新たな治療方法を導入しようと判断することは「自分の管轄外」であると考えていた。 Myeloma UKの代表者であるEric Low氏は、「欧州全体で広く利用可能な延命可能な治療法を英国の骨髄腫患者が利用できないのはひどい話である。英国では新薬については郵便番号をつかった割り付け処方が通例となっており、そのため一部の患者はNICEが承認していない延命可能な治療行為を受けることができる一方、他の患者は治療を受けられずに死んでしまわなければならない。Myeloma UKは、英国保健省に働きかけてこの深刻な事態を解決できるように努力していきたい。」と述べている。
コメント
英国は、国営の医療制度を有し、医療費は大部分税金で支払われている。そのために、エビデンスに基づいた医療が患者に提供されるべきとの考えが強い。保健医療サービスに関わる技術、医療行為、薬物治療については、NICEが世界の研究論文や研究報告書に基づきガイドラインを作っており、それに基づいて保健医療サービスを国民に対して提供することを求めていることが示されている。しかし、ガイドラインに収載されていない医療の提供ができないという大きな問題点もあることを指摘している。専門職、医師の裁量権が制限されていることについて異議を唱えている感じもする。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生