常染色体優性夜間前頭葉てんかんにおける線条体D1受容体結合能の低下
Reduced striatal D1 receptor binding in autosomal dominant nocturnal frontal lobe epilepsy
M. Fedi, MD, S.F. Berkovic, MD, FRACP, I.E. Scheffer, MD, FRACP, G. O’Keefe, PhD, C. Marini, MD, PhD, R. Mulligan, PhD, S. Gong, PhD, H. Tochon-Danguy, PhD, D.C. Reutens, MD, FRACP
Department of Medicine, The University of Melbourne, Victoria, Australia
Neurology. Sep 9;71(11):795-8. Epub 2008 Aug 6.
背景
常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)患者で確認されているニューロンニコチン性アセチルコリン受容体の変異は、アセチルコリン感受性を亢進させる。線条体および前頭前野では、シナプス前ニコチン受容体の活性化によってドーパミン放出が増強されることを踏まえ、α4-Ser248Pheの変異がドーパミン作動性神経伝達に影響するという仮説を検証した。
方法
α4-Ser248Pheの変異がみられる被験者12例(男性3例、平均年齢41±16歳)と、性別、喫煙状態、および年齢でマッチさせた対照者19例(男性8例、平均年齢36±13歳)を対象として、[11C]-SCH23390およびPETを用いてD1受容体結合能を評価した。簡略化した参照領域法(simplified reference region method)により、パラメトリック画像を作成した。MRIによる関心領域法(MRI-based regions of interest)とvoxel based解析の両方を用いた。
結果
変異を有する被験者では、線条体の[11C]-SCH23390結合能の低下がみられた(対照群では1.1±0.1、ADNFLE群では0.97±0.2、P<0.01)。対照群と比較して、α4-Ser248Pheに変異を有する被験者では、右被殻に[11C]-SCH23390結合能が低下した領域があることが統計的パラメトリック・マッピングにより確認された(309ボクセル、極大値20 16 −2mm、Z値3.57、P<0.05)。
結論
D1受容体結合能の低下は、細胞外ドーパミン濃度の上昇、あるいはむしろ、受容体のダウンレギュレーションを示していると考えられる。常染色体優性夜間前頭葉てんかんにおける夜間発作性の運動活性には、中脳線条体系のドーパミン作動性回路の変化が関与している可能性がある。
コメント
今回はいわゆる難病をはなれ、イオンチャンネル異常による常染色体優性夜間前頭葉てんかんの論文である。前頭葉型の単純部分発作の特殊型であるが、アセチルコリンニューロン受容体の異常で出現すると考えられている。本論文は、その変異による機能障害がドーパミン作動性回路、特にD1受容体に変化を及ぼし発作を誘発する可能性を指摘している。一家系であり症例は少なく、さらなる検討を要するが、最近D1受容体障害ではパーキンソニズムは出現せずジストニア等の姿勢異常が出現するとの報告もあり、前頭葉と皮質下との運動調節ネットワークを考えるうえでも重要な示唆を与える論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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