関節リウマチにおける抗シトルリン化ビメンチン抗体(anti-MCV)は抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-CCP)に比べ高感度かつX線上の進行に対する予後予測価値に優れる
Antibodies against citrullinated vimentin in rheumatoid arthritis: higher sensitivity and extended prognostic value concerning future radiographic progression as compared with antibodies against cyclic citrullinated peptides
Mathsson L, Mullazehi M, Wick MC, Sjöberg O, van Vollenhoven R, Klareskog L, Rönnelid J.
Uppsala University, Uppsala, Sweden
Arthritis and Rheumatism 2008 Jan;58(1):36-45
目的
Sa自己抗原は関節リウマチ(RA)患者の炎症滑膜に見出されるが、Saに対するRA特異的な液性免疫応答の少なくとも一部は、シトルリン化ビメンチンに対するものである。本研究の目的は、早期RA患者の発端コホートを対象として、抗シトルリン化変異ビメンチン抗体(anti-MCV)濃度測定の感度、特異度、および予後予測価値を、抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-CCP)濃度測定のそれと比較評価することであった。
方法
早期RA患者273例について、ベースライン時、3カ月後、および1、2、3、5年後に臨床データの取得、X線撮影、およびanti-MCVとanti-CCPの濃度測定を行った。さらに、100人の健康対照者について自己抗体の解析を行った。
結果
診断時点において、273例中193例(70.7%)がanti-MCV陽性、158例(57.9%)がanti-CCP陽性であり、特異度はほぼ同等であった(それぞれ95%および96%)。40例(14.7%)はanti-MCVのみ陽性であり、5例(1.8%)はanti-CCPのみ陽性であった。ベースラインにおける疾患活動性はanti-MCV陽性患者とanti-MCV陰性患者で類似していたが、anti-MCVの存在はその後の疾患活動性の高さとX線上の進行に対する予測因子となった。anti-MCV濃度の変化は、anti-CCP濃度の変化に比べて臨床パラメータの変化との相関が強かった。anti-MCV陽性かつanti-CCP陰性の患者サブグループでは、anti-MCVとanti-CCPの両方が陰性の患者に比べ、X線上の骨破壊のみられる割合が高かった。
結論
これらの結果から、早期RA患者と健康対照者との比較において、anti-MCVの解析はanti-CCPの解析に比べて感度が高く、特異度は変わらないということが示されている。またanti-MCVは、早期RA患者におけるX線上の不良な予後を知るうえでも、anti-CCPより優れていると思われる。
コメント
関節リウマチ(RA)の診断において、かつてRF(リウマチ因子)陽性は重要であったが、RF陰性のRAも数多く見られ、確定診断が困難であった。しかし最近、抗CCP抗体の発見により診断率が高まった。特に早期RAにおいて重要である。本論文では、抗CCP抗体より抗MCVを測定することによって、さらに高い感度で診断することが可能であることを示している。早期RA以外で関節痛が認められる患者や、RFや抗ガラクトース欠損抗体の陰性患者も多く認められるので、抗MCV抗体測定は診断にも、また早期治療導入にも、きわめて有効な検査である。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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