多発性硬化症では灰白質萎縮が長期的障害に関連する
Gray Matter Atrophy Is Related to Long-Term Disability in Multiple Sclerosis
Fisniku LK, Chard DT, Jackson JS, Anderson VM, Altmann DR, Miszkiel KA, Thompson AJ, Miller DH.
Nuclear Magnetic Resonance Research Unit, Institute of Neurology, University College London, UK.
Annales of Neurology. 2008 Sep;64(3):247-54
目的
多発性硬化症(MS)を示唆するclinically isolated syndromeが最初に認められてから20年後の臨床転帰と、脳の灰白質(GM)、白質(WM)、およびWM病変の容積との関連を評価した。
方法
患者73例をclinically isolated syndromeが最初に認められてから平均20年間調査し(33例は再発寛解型MS、11例は二次性進行型MSを発症。残りはさらなる神経学的イベントの発症なし)、対照健常者25例と比較した。Statistical Parametric Mapping 2(SPM2)を用いた三次元T1強調MRIにより、GMおよびWMの容積を測定した。
結果
MS患者では、対照健常者に比べて有意なGM萎縮(p<0.001)およびWM萎縮(p=0.001)が認められた。GM萎縮は、再発寛解型MSよりも二次性進行型MSで(p=0.003)、またclinically isolated syndromeよりも再発寛解型MSで(p<0.001)有意に多かったが、WM萎縮については有意ではなかった。GMの割合は、総合障害度評価尺度(EDSS)(rs=−0.48、p<0.001)およびMS Functional Compositeスコア(rs=0.59、p<0.001)と相関していたが、WMの割合と各スコアの相関は認められなかった。また、WM病変量はGMの割合(rs=−0.63、p<0.001)と相関していたが、WMの割合とは相関していなかった。回帰モデルでは、臨床評価項目の変動が、WM病変量よりもGMの割合と関連することが示された。
結論
罹病期間が比較的長期で同等のMS患者では、GM萎縮がWM萎縮よりも顕著であった。WM萎縮およびWM病変に比べ、GM萎縮はMSのサブタイプおよび障害をよく反映していた。
コメント
MSは一般的には白質の病変が主と考えられてきた。一方、二次性進行型MSでは、ある時期より急速に高次脳機能障害など長期的障害を伴いやすいことが指摘されてきた。しかし、それが灰白質の障害によるものか白質の障害によるものかは一定の結論は得られていない。本論文はMRIによる体積測定により、灰白質の量および割合の減少が障害とより関係することを示したものである。また、程度は二次性進行型よりは軽いが、再発寛解型MSでも同様の結果が示されており、われわれ臨床家はインターフェロンβ等による再発抑制に努めねばならない。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: