抗環状シトルリン化ペプチド抗体が陽性または陰性の関節リウマチ患者における病理学的滑膜組織の比較
Differences in synovial tissue infiltrates between anti-cyclic citrullinated peptide-positive rheumatoid arthritis and anti-cyclic citrullinated peptide-negative rheumatoid arthritis
van Oosterhout M, Bajema I, Levarht EW, Toes RE, Huizinga TW, van Laar JM
Leiden University Medical Center, Leiden, The Netherlands
Arthritis and Rheumatism 2008 Jan;58(1): 53-60
目的
抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)陽性および陰性の関節リウマチ(RA)患者由来の滑膜組織増殖ならびに浸潤細胞の病理学的比較による、関節破壊の差異を検討する。
方法
RA患者57例(うち34例が抗CCP抗体陽性)の炎症膝関節から関節鏡下に滑膜組織検体を採取し、いくつかの組織学的特徴ならびに細胞マーカーを用いた浸潤細胞の数量と分類について検討した。標準的なX線前後像に基づき、Kellgren/Lawrence(K/L)分類(範囲0〜4)を用いて関節損傷を評価した。31例(うち18例が抗CCP抗体陽性)では早期の時点から滑膜組織が得られ、経時的病理変化の解析が可能であった。
結果
抗CCP抗体陽性患者由来の滑膜組織は抗CCP抗体陰性患者由来の滑膜組織に比べ、浸潤リンパ球数が多く(1高倍率視野[hpf][400倍]あたり61.6対31.4、P=0.01)、線維形成が弱く(平均スコア1.2対2.0、P=0.04)、また滑膜表層が薄い(平均スコア2.1対3.3、P=0.002)という特徴を有していた。抗CCP抗体陽性患者ではCD3、CD8、CD45RO、CXCL12陽性細胞が多く浸潤していた。また、K/Lスコアが1を超えていた患者は、抗CCP抗体陽性患者の方が抗CCP抗体陰性患者よりも多かった。平均リンパ球数の差は、今回用いた生検組織で抗CCP抗体陽性患者および抗CCP抗体陰性患者でそれぞれ1 hpfあたりリンパ球数は76.7対26.7、P=0.008と抗CCP抗体陽性患者で多く、この所見は3.8年前にすでに認められ、これは罹患期間およびK/Lスコアとは無関係であった。
結論
抗CCP抗体陽性RA患者の滑膜炎は、特に浸潤リンパ球に関して抗CCP抗体陰性RA患者とは量的にも物質的にも異なっており、局所関節破壊が速やかである。
コメント
関節リウマチの診断で特異性および感受性の高い抗CCP抗体の陽性患者と陰性患者ではじめて関節滑膜の病理所見を比較した報告である。抗CCP抗体陽性患者は炎症度が高く、浸潤リンパ球(Tリンパ球、リンパ球のいずれも)が多い。マクロファージ数は同等である。陽性患者では、TNF-αの産生が多く、パンヌスの体積も大きく、関節破壊の進行も速そうである。このことから、抗CCP抗体測定は関節破壊予後を知るための優れたマーカーでもあることが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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