ハンチントン病にみられる体重減少はCAGリピート数が多いほど大きい
Weight loss in Huntington disease increases with higher CAG repeat number
Aziz NA, MSc, van der Burg JMM, MSc, Landwehrmeyer GB, MD, Brundin P, MD, Stijnen T, PhD, EHDI Study Group*, Roos RAC, MD
Leiden University Medical Center, Department of Neurology, Leiden, The Netherlands.
Neurology. 2008 Nov 4;71(19):1506-13
目的
ハンチントン病(HD)は、ハンチンチン遺伝子のCAGリピート数の伸長を原因とする遺伝性神経変性疾患である。HDの特徴の一つに意図しない体重減少があるが、その原因は明らかでない。HDにおける体重減少の基礎的機序を明らかにする目的で、体重減少と、運動、認知および行動障害などの他の疾患特性、ならびにCAGリピート数との関係を検討した。
方法
初期のHD患者517例を対象として、3年間の体重の変化とCAGリピート数およびハンチントン病統一評価尺度(Unified Huntington’s Disease Rating Scale:UHDRS)の各コンポーネントとの関連を、混合効果モデル解析により検討した。また、HDモデルマウスであるR6/2マウスにおいて、CAGリピート数と体重およびカロリー摂取との関連も評価した。
結果
HD患者の体格指数(BMI)の平均値は年間あたり0.15(P<0.001)減少した。しかし、UHDRSの運動、認知、行動などの各コンポーネントのスコアと体重減少率との間には、いずれも独立した関連は認められなかった。CAGリピート数が多いHD患者では体重減少が速いペースであった。同様にCAGリピート数が多いR6/2マウスは体重が少なかったが、カロリー摂取は多かった。
結論
ハンチントン病(HD)の体重減少は、CAGリピート数と直接関連しており、その原因は代謝亢進状態である可能性がある。HDのその他の徴候および症状は、疾患初期では体重減少に寄与しないと考えられる。体重減少の原因機序を解明することによって、有効なエネルギー代謝に基づく治療法が見出されるかもしれない。
コメント
ハンチントン病やパーキンソン病などの神経変性疾患において、以前より経過中のやせが指摘されており、不随意運動との関連などで議論されてきたが原因は不明であった。今回の論文は、ハンチンチン遺伝子のリピート数の長さとやせの相関を、さらに機序として代謝の亢進を指摘したものである。体重減少が予後因子である可能性も強く、ハンチントン病の治療において、エネルギー代謝に基づく新薬開発もさることながら、基礎代謝の測定や摂取カロリー量の決定など、早急に検討することの重要性を指摘したものである。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: