糖尿病患者のエフェクターT細胞はCD4+FOXP3+制御性T細胞による調節に抵抗性を示す
The effector T cells of diabetic subjects are resistant to regulation via CD4+FOXP3+regulatory T cells
Schneider A, Rieck M, Sanda S, Pihoker C, Greenbaum C, Buckner JH.
Benaroya Research Institute at Virginia Mason, Seattle, WA 98101, USA.
The Journal of Immunology 2008 Nov 15;181(10):7350-5.
背景
免疫調節の異常はマウスおよびヒトにおける糖尿病の病因として示唆されてきた。自己の制御性T細胞(Treg)およびエフェクターT細胞(Teff)を用いたin vitroアッセイから、糖尿病患者では抑制が障害されていることが示されている。本研究では、この異常の原因が糖尿病患者のTregまたはTeffのコンパートメントに固有のものであるかどうかについて検討した。
方法
まず、内在性Treg(nTreg)と獲得性Treg(aTreg)のいずれが存在するかにかかわらず、1型糖尿病(T1D)患者でみられる抑制の障害が類似していることを確認した。次に、T1D患者のaTregが健常対照者のTeffを抑制する能力と、健常対照者のaTregが糖尿病患者のTeffを抑制する能力とを比較した。
結果
T1D患者由来のaTregは、健常対照者のTeffの存在下で正常に抑制することが認められた。しかし、T1D患者のTeffは、健常対照者のaTregの抑制に対し抵抗性となることが明らかにされた。このaTregによるTeffの抑制抵抗はnTregについても同様にみられた。
結論
T1Dにおけるこの「調節異常」は、主にTregに応答するTeff細胞の抵抗性に起因するものであり、T1D患者のTeffに固有の特性である。エフェクターT細胞がTreg細胞の抑制に抵抗することは、T1Dの発症および、その治療において異常Teffが標的となる機序を示している。
コメント
1型糖尿病は、免疫異常が原因のb細胞に対する自己免疫疾患により慢性炎症をきたし、インスリン産生が低下して発症する。この研究では、本疾患が異常なエフェクターT細胞によって、患者、健常人いずれのaTregあるいはnTreg制御性T細胞の抑制に抵抗することが示された。Tregは自己免疫発症を抑制するT細胞であるが、本疾患はエフェクターT細胞異常によって発症することが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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