フランスにおける変形性膝関節症患者に対して行った標準化指導プログラムと一般診療プログラムによる影響評価(ARTIST):実践的無作為化比較試験
ARTIST (osteoarthritis intervention standardized) study of standardised consultation versus usual care for patients with osteoarthritis of the knee in primary care in France: pragmatic randomised controlled trial
Ravaud P, Flipo RM, Boutron I, Roy C, Mahmoudi A, Giraudeau B, Pham T.
INSERM, U738, Paris, France
BMJ 2009 Feb 23;338:b421. doi: 10.1136/bmj.b421
目的
変形性膝関節症患者に対して標準化された指導プログラムの与える影響を評価する。
デザイン
非盲検の実践的クラスター無作為化比較試験。
調査対象
フランスでプライマリケアを受診している膝関節症患者を対象とした。
分析対象の患者の抽出
プライマリケアのリウマチ専門医198人を受診してきた米国リウマチ学会の診断基準を満たす変形性膝関節症患者について、連続した各2例を登録して参加者とした。
介入群について
標準化した専門指導は3つの内容について実施された。1つ目は変形性関節症に関する教育と疾病管理を行うもの、2つ目は運動に関する適切な情報提供を行うもの、3つ目は減量に関する情報提供を行うものである。標準化した指導プログラム以外の患者については、プライマリケアの一般診療における医療サービスに委ねた。
主要評価指標
4カ月後の時点における体重の変化および運動時間の変化で評価を行った。
結果
336例の患者が組み入れられた(標準化プログラム指導群154例、一般診療群182例)。このうち、ベースラインのデータ不足のため9例は除外した(標準化プログラム指導群8例、一般診療群1例)。クラスター効果を考慮すると、4カ月時点の体重減少は標準化プログラム指導群のほうが一般診療群よりも大きく、平均値はそれぞれ−1.11(SD 2.49)kgと−0.37(2.39)kgであった(P=0.007)。身体活動スコアも、標準化プログラム指導群のほうが一般診療群よりも高く、平均値はそれぞれ0.20(0.65)と0.04(0.78)であった(P=0.013)。副次的評価項目では、疾患活動性評価点で平均値−1.66(2.26)に対して−0.90(2.48)(P=0.003)、疼痛レベル評価点で平均値−1.65(2.32)に対して−1.18(2.58)(P=0.04)であった他は、有意な差は認められなかった。
結論
変形性膝関節症患者に対する標準化した指導プログラムにより、体重減少と運動時間について一般診療の患者と比べて好ましい影響が認められた。
コメント
膝関節症患者に対して薬物を使わない標準化した指導プログラムを開発して提供することにより、一般診療の場で薬物治療を受けている患者と比べて、生活の質の改善にどのような影響が及ぼされるのかを検討した研究である。薬物を使わない指導プログラムでも、体重コントロール、身体活動レベル、疼痛レベルにもよい影響が得られることが示されたと報告している。ただし、医療現場では指導にどの位時間と手間をかけられるかということも重要な要素であり、わが国の医療制度では導入が難しいように思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 健康政策学 高鳥毛 敏雄先生
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