アトピー性皮膚炎では乾癬に比べIL-23/Th17経路の発現が低い
Low expression of the IL-23/Th17 pathway in atopic dermatitis compared to psoriasis
Guttman-Yassky E, Lowes MA, Fuentes-Duculan J, Zaba LC, Cardinale I, Nograles KE, Khatcherian A, Novitskaya I, Carucci JA, Bergman R, Krueger JG.
The Journal of Immunology 2008 Nov 15;181(10):7420-7.
背景
IL-17およびIL-22を産生する新たなT細胞サブセットのTh17 T細胞が発見されたことにより、アトピー性皮膚炎(AD)および乾癬をこれまで定義してきた古典的なTh1/Th2パラダイムに対し、最近Th17 T細胞の作用について問題が投げかけられている。乾癬を含めた多くのTh1病では強いIL-17シグナルがみられることが明らかとなってきたが、ADにおけるTh17 T細胞の病態意義は依然明らかではない。
方法
遺伝子マイクロアレイ、RT-PCR、免疫組織化学法、免疫蛍光法を用いて、AD患者由来の皮膚生検標本と乾癬患者由来の皮膚生検標本の比較検討を行った。
結果
ADでは乾癬に比べ、IL-23、IL-17、IFN-γの遺伝子発現が低下していることが明らかとなった。ケラチノサイトに対するIL-17およびIL-22の作用を調べるため、in vitroでIL-17、IL-22またはIFN-γで刺激したケラチノサイトを用いて遺伝子アレイによる検討を行ったところ、IL-17によりリポカリン2およびCCL20等他の多くの自然免疫遺伝子が、ケラチノサイトに選択的に誘導されることが明らかとなった。IFN-γは、ケラチノサイトにおけるデフェンシン等抗菌遺伝子の発現には影響を及ぼさなかった。AD皮膚病変では、リポカリン2および他の自然免疫遺伝子(hBD2、elafin、LL37)の蛋白発現とmRNA発現が乾癬に比べ低下していた。
結論
ADは、Th1/Th2パラダイムによればTh2優位性の疾患として位置付けられているが、ADではIL-23/Th17軸が大きく欠損していることが今回示された。このことにより、本疾患において再発性に皮膚感染が生じやすい現象を説明することができる。
コメント
乾癬とアトピー性皮膚炎はいずれも炎症性皮膚疾患で、免疫学的に前者はTh1 T細胞が主であり、後者はTh2 T細胞が主となって生じる皮膚疾患と考えられている。しかし、最近知られたIL-17を産生するTh17 T細胞の関与については十分な解析がなされていなかった。乾癬の発症にはTh17 T細胞の活性化が関与することが知られるようになっていたが、アトピー性皮膚炎は不明であった。このたびアトピー性皮膚炎の病態において、乾癬に比べてTh17 T細胞の関与が少ないことが示唆された。特に、Th17 T細胞は抗細菌ペプチドを産生しやすいが、アトピー性皮膚炎の皮膚ではIL-17産生が少なく、デフェンシン等の産生も少ないことが明らかにされ、アトピー性皮膚炎でみられる繰り返される細菌感染が説明付けられた。
監訳・コメント:大阪大学 先端科学イノベーションセンター 吉崎 和幸先生
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